首都高、2030年までに全料金所ETC専用化 なぜすぐ一般レーン廃止できず?
公開 : 2021.12.28 07:05 更新 : 2022.03.25 18:48
首都高は、2030年までに全料金所をETC専用化します。なぜ一般レーン廃止に時間がかかるかを解説。
来年4月までに首都高34か所で一般レーン廃止
首都高速は2022年3月に5か所、4月に29か所の合計34か所の料金所で一般レーンを廃止しETC専用とすることを発表した。
2022年4月。もうあと3〜4か月。ちょっと急な気もするが、首都高によると34か所の料金所は「ETC利用率が極めて高く、誤進入などの間違い利用が少ない」という理由で選ばれたそうだ。
その後、2025年度までに首都高料金所の約9割にあたる160か所、2030年度頃までには全料金所がETC専用になる予定だ。
ちょっと急な気もするが、国交省発表のETC利用率(令和3年9月)のデータを見ても首都高におけるETC利用率は極めて高い。
NEXCO 3社や阪神高速など国内6社の高速道路の中で、全車平均96.7%、普通車97.1%となっており利用率はトップだ。
ここまで利用率が高ければ一般レーンを廃止しても大きな問題にはならないだろう。
なお一般レーンを廃止する代わりに「サポートレーン」なるものが新たに設置される。
サポートレーンはETC車載器を持たないクルマが誤って進入したり、ETCカードが期限切れだったりでバーが開かなかったりした場合に対応するためのもの。
「誤って進入した場合はサポートレーンに入って、インターホンで係員の指示に従って対応する」ために存在するレーンなのだそう。
そもそもなぜ「ETC専用」推進?
首都高が料金所のETC専用化を進めるにはいくつかの理由がある。
首都高速が公表している理由は以下の3つだ。
理由1 料金収受員の確保が困難
当たり前のことではあるがETCレーンでは人の手を介さず、料金を自動収受する。
以前AUTOCAR JAPANの記事でもふれたが、首都高速では2020年2月頃から料金所の収受員を大量募集していた。
定年後もシニア社員として65歳まで、シニア社員終了後も70歳までシルバー社員として再雇用されるなど安定した環境で長く働くことが可能で魅力的な雇用条件だった。
しかし実際には24時間の職場で一般的な事業所の3倍は人員が必要となり、なかなか人員の確保が難しかったようだ。
理由2 感染症リスクの軽減
首都高の一般レーンは基本的に有人ブースとなり、現金やクレジットカードでの支払いとなる。
短時間であっても利用者とドライバーの接触が発生するので感染症リスクはゼロとは言えない。
コロナ禍以降、首都圏を中心に有料道路の料金所で業務にあたる収受員がCOVID-19に感染。時期と場所によっては感染拡大防止のために一般レーンを2週間程度閉鎖していたこともあった。
記憶に新しいところでは今年7月に「横浜青葉本線(下り)料金所(横浜市青葉区)」などで任務にあたる料金収受員など合計22名の陽性者が出ている。
この時も一般レーンはしばらく閉鎖されていた。ETCレーンだけにしてしまえば、感染のリスクは限りなくゼロに近くなる。
そして3番目の理由……これはETC専用とすることでロードプライシングの観点から料金を柔軟に変えていくということのようだ。
実際どれくらい料金が変化するのだろうか?