首都高、2030年までに全料金所ETC専用化 なぜすぐ一般レーン廃止できず?
公開 : 2021.12.28 07:05 更新 : 2022.03.25 18:48
理由3 そして大幅値上げとの関係
首都高のプレスリリースには「ETC専用化」3番目の理由としてこのように記載されている。
「空いている時間帯や割引など、柔軟な料金設定が容易になり、混雑を緩和してお客様の生産性向上を図る」
「割引」の文字に心が躍るがその前に気になるのは、かねてから公表されていた「上限料金の大幅値上げ」である。
首都高34か所の出入口がETC専用となる2022年4月から通行料金の上限が以下のように値上げされる。
・軽/二輪1590円(+500円)
・普通1950円(+630円)
・中型2310円(+900円)
・大型3110円(+1030円)
・特大5080円(+2430円)
金額だけを見ると凄まじい額の値上げに驚くのだが……実はこれ、値上げされるのは「上限料金」だけである。
首都高において上限料金が適用されるのはすべての車種において「35.7km」となり、普通車では1320円だ。
35.7km以上で適用される上限料金が来年4月以降、値上がりとなる。
しかし、上限料金適用とならない35.7km以下では10kmでも20kmでも値上げとならずこれまで通りだ。
では「割引」の方はどうなのか?
こちら大口・多頻度割引が最大で35→45%の割引となる他、ETCを利用するすべてのクルマに「深夜割引」が設定され毎日午前0~4時は全路線、全車種で20%割引となる。
要するに、一般の車両では35.7kmまでの通行であればこれまでと料金は変わらず、深夜に利用すれば2割引きになる、ということである。
一般レーン「全廃」すぐできぬ理由
前述したように首都高におけるETC利用率は極めて高い。
2030年にはすべての出入口をETC専用となるわけだが、それまでにはまだあと8年以上ある。
なぜ、すぐにでも一般レーンを廃止(サポートレーンに置き換え)し、ETC専用にできないのだろうか?
こちらは主に「誤って首都高に入ってクルマや降りる出口を間違ったクルマ」への対応が関係してくるようだ。
首都高ではこの1〜2年、横浜北西線(K7)の開通や渋谷入口(下り)や小松川ジャンクションの開設など新たな道路が開通し、分岐も増えた。
今後も首都高速5号線と接続する大宮上尾道路の整備も進んでいる
分岐が複雑になれば間違えるドライバーや料金所で誰かに道を聞きたい人も増えて来るだろう。
カーナビが古くて対応できない場合もあるだろうし、高齢ドライバーはスマホの地図を使いこなすのも難しいかもしれない。
ちなみに、NEXCOの高速道路では降りる出口を間違えた人に対しては「次のICで申し出る」ように掲示してある。
降りる出口を間違えた→慌ててUターン→逆走事故! というケースもあるため、次の出口の有人ブース(一般レーン)で申し出るか指定の待機場所で待てば「特別転回」という方法で本来降りる予定のICまで無料で戻ることができる。
この特別転回は全国の高速道路で実に1か月平均3.5万件も申し出があるが首都高では特別転回の対応はしていないとのこと。(物理的にできない)