マツダ・スーパースポーツ、復活? 消滅? RXビジョン登場7年後の考察

公開 : 2022.01.02 11:05  更新 : 2022.01.04 18:32

量産の可能性を完全否定しなかった

マツダ第6世代には、大きく3つの柱があった。

マツダ独自の内燃機関開発思想である「スカイアクティブ」の採用。芸術品とも感じさせるような繊細で大胆な「魂動デザイン」。そして限られた条件の中で超最適な製造環境を実現する「モノづくり革新」の3つである。

フォードとの資本提携解消によって、再び独り立ちすることになったマツダとって、マツダ第6世代の商品開発はまさに、背水の陣だった。

幸運にも、第6世代商品群は国内のみならず先進国や新興国でも大成功を収め、その勢いをさらに未来につなげるために、マツダの社内外に強いメッセージを発進する必要があった。

そのメッセージを具現化させたのが、マツダRXビジョンだ。

2015年東京モーターショーでのワールドプレミア直後、小飼雅道社長(当時)は大勢の報道陣による囲み取材を受けた。

その場には筆者(桃田健史)もいたが、記者らからの「量産はいつ頃か?」という質問に対して小飼社長(当時)は「あくまでも夢であり、いつか実現したい」と慎重な表現をした。

そのうえで「今回のショーにおけるお客様の声や、市場動向や社会環境を見極めてから考えていく」とも答えていた。

では、その後、マツダ周辺の市場動向や社会環境は、あれからどう変わったのか?

EV専用アーキテクチャーなら?

2010年代中盤、独メルセデス・ベンツがマーケティング用語として唱えた、CASE(コネクテッド/自動運転/シェアリングなどの新サービス/電動化)が一般名詞化。

マツダも早期のCASE対応が必然となり、次世代事業計画の改良が続いた。

マツダRXビジョンGT3
マツダRXビジョンGT3    マツダ

さらに、コロナ禍という有事となる中、2020年5月にゲーム(グランツーリスモスポーツ)に仮想レースマシンのマツダRXビジョンGT3コンセプトが参加した。

ユーザーの間では「つまり、量産化を諦めたということか……」という落胆の声が聞かれた。

直近では、2021年6月に「サステナブル『Zoom-Zoom』宣言2030」に基く商品戦略が公開された。

縦置き直列6気筒を主流とするラージ商品群と、横置き4気筒エンジンが主体のスモール商品群。

加えて、「スカイアクティブEV専用スケーラブルアーキテクチャー」を公表した。

こうしたマツダの商品戦略の中に、ロータリースポーツの姿はない。

ただし、MX-30 EVレンジエクステンダーのように、ロータリーを発電機として使い、EV専用アーキテクチャーで2ドアスポーツカーという選択肢は十分に考えられるのではないだろうか。

ロードスターについてもマツダ幹部は「2030年以降の商品スコープ(計画)に入っている」と発言しており、上級スポーツカー実現の夢はまだまだ消えていないといえる。

マツダのこれからに大いに期待したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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