【現実の環境でテスト】ポルシェ・タイカン・ターボS 一般道/高速道路/峠道で検証

公開 : 2021.12.19 12:10

601kmのテスト走行 印象は

翌朝、9時40分に充電を止め、クルマをスタートさせたが、その時の充電量は79%、走行可能距離285kmまで回復していた。この日は都内2か所で、ミーティングや食事の後、再び甲府に向かう。

この日の走行距離は、200km以上まで行きそうなので、充電量が足りない危険性があった。

現有のポルシェ356と。今回の総走行距離は甲府2往復を含め601km。EVとして充分に日常に使用できた。
現有のポルシェ356と。今回の総走行距離は甲府2往復を含め601km。EVとして充分に日常に使用できた。    戎大介

ミーティングの場所に充電器があれば、少しでも充電をしておきたいと思っていたが、残念ながら2か所とも無く、いささか不安を覚えながら走り、最悪の場合は、談合坂サービスエリアで急速充電も有りだ、と考えていた。

しかし、結果は、都内での電力消費が意外に少なく、181km走って甲府に到着した時の残量は29%、走行可能距離93kmであった。

翌日の午後2時には、充電開始から17時間後で72%、走行可能距離249kmまで回復していた。

この日は楽しみにしていたワインディングの撮影だ。いつものゴルフ場への長いアプローチの峠に向かう。ワインディングではスポーツ・プラスモードがベストで、クイックなステアリングとバランスの良い足回りのおかげで、限界も分かりやすく、非常に早く走ることができる。

特に、上り勾配でのタイカン・ターボSの加速の鋭さは半端ではなく、オーバースピードでコーナーへ入りがちで、要注意だ。

結局、この日は、ワインディングを含め50km程度を走って、充電量63%、走行可能距離211kmとなった。

他のEVでは、ワインディングを走ると、電力回生によりむしろ残距離が殆ど減らない傾向にあるが、スポーツ・プラスではパフォーマンスが大幅に上がるかわり、電力消費が増加するのは止むを得ないだろう。

翌日の最終日は、午前9時に甲府をスタートし、川崎に向かう。この時の充電量は99%、358km走行可能であった。中央道は、更に「ポルシェらしい」走りをして帰ってきたが、川崎到着時の残量は67%、走行可能距離233kmであった。

この時のオドメーターの数値は1万7718kmである。

今回の試乗の総走行距離は甲府2往復を含め601kmとなった。これだけの距離を様々なシチュエーションで走ってみて、ポルシェ・タイカンが、ポルシェ本来のパフォーマンスをしっかりと維持しながら、EVとして充分に日常に使用できることが分かった。

試乗をする前に不安であった充電能力の問題も、私のように100km内外の往復程度までなら、現状の設備でも何とかなることが分かり、また、もしタイカンを購入するのなら、自宅に8kWの充電装置を備えるだけで、殆ど不安は解消することも分かった。

いずれ、国内でも、一般的な普通充電の装置のパワー強化は行われることになろうが、それが何時になるのかは皆目見当がつかない。

そのような中で、EVのパフォーマンスは上がる一方であるから、それに対応してインフラを自前で広げようとするポルシェの姿勢は、性根が座っていて素晴らしいと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長、2024年8月より総編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事