BMW iX xドライブ40 Mスポーツへ試乗 X5級の純EV 乗り心地はSクラス以上
公開 : 2022.01.03 19:05
秀逸の乗り心地 感触の薄いステアリング
iXを一般道で運転してみても、その印象は一長一短。BMWらしくないと感じる側面も、なくはない。
乗り心地は感心するほど良好。路面の影響をほとんど受けない。一般的に純EVは極めて静々と走行するが、大きなバンプを通過すると、一発で処理しきれないモデルも少なくない。
だが、iXはメルセデス・ベンツSクラス並みか、それ以上に乗り心地が良い。低速域で少し硬さを感じるものの、決して不快ではない。
さらに唸らされたのが、ステアリングの反応の良さ。操舵感は軽く、とてもクイックだ。不安定さは一切なく、とても意欲的にクルマの向きを変えてくれる。
リミッターが効く249km/hでアウトバーンを飛ばすことを前提に、切り増しするにつれて重みが増し、レスポンスが向上していくのが一般的なBMWのステアリングだった。だが、iXは最高速度が199km/hに制限されているためか、重みは変化しないようだ。
全高は高いものの、コーナーでのボディロールは最小限。重心高の低さが活きている。反面、ステアリングとシャシーとのつながり感は薄い。これは、BMWの操舵感としては珍しい。SUVであっても。
iXを運転した印象は、静かで悪くはない。ただしステアリングは感触が薄く、機敏ながら少し過剰気味なところもある。走行中は、車内のインターフェイスや人間工学に気を揉むこともあるだろう。
BMWのレガシーを一度振り返りたい
かつてイアン・ロバートソン氏がBMWのセールス&マーケティング部門を率いていた頃、新しい技術などが自動車メーカーとしてのレガシー、遺産にどう影響するのか意見を聞いたことがある。10年ほど前だ。
彼のストロングポイントは、自動車工学として何を施すべきか、明確に把握していたことだった。人間工学的にも、賢明にクルマを作るということの重要性を理解していた。
筆者は純EVのBMW iXが嫌いではない。むしろかなり好きだ。だが現代の技術者は、そのレガシーをいま一度振り返っても良いのではないだろうかとも思った。
BMW iX xドライブ40 Mスポーツ(英国仕様)のスペック
欧州価格:7万2795ポンド(約1106万円)
全長:4953mm
全幅:1967mm
全高:1695mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:6.1秒
航続距離:402km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2365kg
パワートレイン:ツインAC永久磁石同期モーター
バッテリー:71.0kWh(実容量)
最高出力:326ps(システム総合)
最大トルク:64.1kg-m(システム総合)
ギアボックス:−