ポルシェ911 カレラ GTS 後輪駆動の7速MTへ試乗 ターボのサスに480ps
公開 : 2022.01.02 19:05
カレラSとGT3との間の、絶妙なバランスにある992型の911 カレラGTS。英国の一般道で英国編集部が評価しました。
もくじ
ーターボ譲りのサスペンション
ーカレラSより明らかに意欲的な911
ー伝統的なシュツットガルトのスポーツカー
ーGTSならではの素晴らしく緻密な操縦性
ーポルシェ911 カレラ GTS クーペ(英国仕様)のスペック
ターボ譲りのサスペンション
昨年末、AUTOCARでは四輪駆動に8速PDKが組み合わされたポルシェ911 カレラ4 GTSに試乗した。年が明けた今回は、後輪駆動に7速MTが組み合わされた、より純粋なカレラ GTSを英国の公道で確かめたいと思う。
最新の911 GT3に続くシリアスな992型の完成度を、よりピュアな構成で検証できる。近年では、911ですらMTを選ぼうというドライバーは少ないという。それでも、ポルシェは後輪駆動にこの選択肢を残してくれた。ダンケシェン。
まず、911 カレラGTSを簡単におさらいしておこう。これまでのGTSは、カレラをベースにした特別パッケージのようなモデルだった。特別に仕立てられたコンポーネントなどは基本的に装備されず、妥当な価格で訴求力のあるオプションが選べる911といえた。
しかし992型のGTSは異なる。サスペンションは入念に手が加えられた911 ターボ譲り。リアサスペンションにはヘルパースプリングが備わり、路面の起伏などで深く圧縮したときや伸長した時に、メインスプリングを支えてくれる。
鋳鉄製のブレーキディスクもターボ譲りで、カーボンセラミック・ディスクも選択できる。PASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメント)として組まれるダンパーは、GTSの独自チューニングが与えられている。
カレラSより明らかに意欲的な911
大幅なダイエットを叶えるべく、ライトウエイト・パッケージも用意されている。リアシートを撤去し、918スパイダー風のカーボンファイバー製バケットシートをフロントに搭載。軽量なガラスとバッテリーが組まれる。
その結果30kgの軽量化を実現でき、MTに後輪駆動という組み合わせなら、車重は1500kgを切ることになる。四輪駆動やPDKを選ぶと、少し重くなってしまう。
エンジンもGTS仕様。3.0L水平対向6気筒ツインターボ・エンジンは、カレラSから30ps増強され、最高出力480psを得ている。増加量としては大きくないものの、500馬力に迫る数字だから、1.5tの車重には充分以上だろう。
GTSを見た目で彩ってくれるのは、専用のスポーツエグゾースト。防音材も省かれ、豊かなサウンドを車内で存分に鑑賞できるようになっている。
果たして、911 カレラGTSの完成度は圧巻。ターボより穏やかだし、GT3ほど徹底的というわけではない。それでも、身のこなしの軽いサラブレッド的な性格が一層磨かれ、カレラSより明らかに意欲的な911に仕上がっている。
路面とタイヤとの関係性をドライバーへ伝えてくれる能力では、カレラSとGT3との中間。より911の走りを理解しやすい。
エンジンの個性も濃くなっている。GTSでは6000rpmを超えたあたりから、明確にアグレッシブさが高まる。クランクスピードが上昇する感覚が伝わり、それに応じてカレラGTSのボディは力強く押し進められる。