ミニ・コンバーチブル(最終) 長期テスト 夏を完璧に過ごせるクーパーS

公開 : 2022.01.09 09:45

硬い乗り心地 4シーターという実用性

どうしても気になった部分が、スポーツサスペンションの硬い乗り心地。目には見えないものの、多くの人が共感した部分でもある。

クーパーS コンバーチブルを借りた同僚の多くが、引き締まったサスペンションが生む揺れについて意見を聞かせてきた。筆者も気がつけば、路面の継ぎ接ぎなどを避けて運転するようになっていた。

ミニ・クーパーS コンバーチブル・エクスクルーシブ DCT(英国仕様)
ミニ・クーパーS コンバーチブル・エクスクルーシブ DCT(英国仕様)

ただし、アダプティブサスペンションを装備できる。英国では400ポンド(約6万円)のオプションだが、いつか違いを確かめてみたいところだ。

マツダロードスターは、ここまで硬くない。小さなロードスターは、より夏を気持ちよく過ごさせてくれるクルマにもなり得る。でもリアシートがない。

ミニ・コンバーチブルなら、3人の友人と一緒に出かけられる。この実用性は大きい。

ルーフを閉じると180cmの大人が後ろに座ることは難しいものの、コンパクトなサイズを考えれば当然。メルセデス・ベンツCクラス・カブリオレでも、ルーフを閉じればリアシート側は少し窮屈に感じられる。ミニよりくつろげるとは思うが。

F1英国グランプの観戦にも、ミニ・コンバーチブルで向かった。好天に恵まれたものの、高速道路では大きなロードノイズと風切り音に悩まされた。ステレオのボリュームを上げても、かき消せないほど。

長距離移動を頻繁にするドライバーへ、ミニ・コンバーチブルはオススメしにくい。だが、短距離中心の使い方なら話は別。郊外の道を軽快に走らせるのは本当に楽しい。都会の道でも同様だ。

ミニ・コンバーチブルで過ごす夏は完璧

ミニのインテリアの質感は高く、BMW由来のインフォテインメント・システムも使い勝手は良い。クルマの実用性、という点では及ばないにしても。

3万5310ポンド(536万円)という、長期テスト車の英国価格には疑問もなくはない。プレミアムなインテリアに、活気ある動力性能を備えているが、ミニならもう少し手頃に楽しめても良いと思う。

ミニ・クーパーS コンバーチブル・エクスクルーシブ DCT(英国仕様)
ミニ・クーパーS コンバーチブル・エクスクルーシブ DCT(英国仕様)

BMW 220i コンバーチブルは、同等の動力性能と品質を備えており、見た目も筆者好み。それでいて、価格は殆ど変わらないのだ。

とはいえ、ミニ・コンバーチブルで過ごす英国の夏は完璧だった。秋も悪くない体験にしてくれる。恐らく春も。

セカンドオピニオ

派手なミニ・コンバーチブルでお葬式は似合わないと思うが、クーパーSにはかなりのストロングポイントが備わっていることは間違いない。

マツダ・ロードスターより車内は広いし、快適。パフォーマンスも明確に劣るほどではない。 Felix Page(フェリックス・ペイジ)

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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