モーガン・プラスフォー・クラブスポーツ 試作車へ試乗 CXシャシーのレーサー

公開 : 2022.01.05 19:05

クラシックレーサーのような身軽さ

サーキットマシンというより、ロードカーに近いことは否めない。同時に、まだ多くの可能性が残されていることも間違いない。

前後のタイヤがしっかりシンクロして動いており、CXシャシーの剛性の高さは明らか。フロント・サスペンションへ負荷が掛かり旋回を始めると、リアは狂いなく追従していく。コーナーへねじ込むのではなく、吸い込まれるように走る。

モーガン・プラスフォー・クラブスポーツ・プロトタイプ
モーガン・プラスフォー・クラブスポーツ・プロトタイプ

ボディロールが大きいといっても、一貫して徐々に角度が増していく印象。ボディは柔らかく流れる。筆者が乗った消化器が備わったクルマで、最もマイルドだ。

ペースを速めていくと、グッドウッド・リバイバルのイベントで優雅にサーキットを舞う、クラシックレーサーのような身軽さを披露し始める。リアタイヤが漸進的に流れ、大きなステアリングホイールを軽快に操作していける。

そのまま数周、クルマの個性を理解するほどに、充足感はさらに高まる。とても楽しい。

モーガン・プラスフォーは軽い。公道用モデルの乾燥重量は1013kgだが、このシングルシーターのクラブスポーツ・プロトタイプもほぼ同じ。内装は省かれているものの、ロールケージで相殺されている。

この軽さが、コーナーからコーナーへ流暢に操れる繊細さをプラスフォーに与えている。

垣間見れるCXシャシーの能力の高さ

これから煮詰めるなら、まずロール剛性を高めたいところ。特にフロント側で。アンダーステア主導の特性がバランスされ、コーナー目掛けてより積極的にブレーキングできるようになる。旋回中の安定性も改善するはず。

アンチロールバーを太いものに交換し、ネガティブキャンバーを強め、車高をさらに落とし、より溝の少ないエイボンZZRタイヤを履かせると良い。ダンパーもオーリンズ社製など、もっと高性能なものが欲しい。LSDも。

モーガン・プラスフォー・クラブスポーツ・プロトタイプ
モーガン・プラスフォー・クラブスポーツ・プロトタイプ

CXシャシーの能力が高いためか、モーガン・プラスフォーをシリアスなサーキットマシンに仕立てることは、さほど難しくないようだ。最終的にどのレベルへ落ち着くかは、予算とドライバーのニーズによるだろう。

ただし、開発段階のクラブスポーツが備える、楽しく優しいオールドスクールな能力も魅力的。この個性を残して欲しいとも思った。

モーガン・プラスフォー・クラブスポーツ・プロトタイプのスペック

英国価格:7万5000ポンド(約1140万円/予想)
全長:3830mm(標準プラスフォー)
全幅:1650mm(標準プラスフォー)
全高:1250mm(標準プラスフォー)
最高速度:241km/h(予想)
0-100km/h加速:5.2秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1010kg
パワートレイン:直列4気筒1998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:258ps/5500rpm
最大トルク:35.6kg-m/1450-5000rpm
ギアボックス:6速マニュアル

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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