使い捨て感覚で大丈夫? 「激安チェーン」要注意 走行数百メートルで切れた例も
公開 : 2021.12.26 16:45 更新 : 2022.03.25 18:49
どんなチェーンを選べばよい?
では、どんなチェーンを選べばいいのだろうか?
安心、安全の目安の1つに、「JASAA認定品」であることがあげられる。
JASAAとは一般財団法人日本自動車交通安全用品協会のことで、同協会が認定しているタイヤ滑り止め装置は「タイヤ滑り止め装置認定委員会」委員の立会いのうえ、各種の実車走行試験をおこない、性能が確認された製品とされている。
具体的には「道路の破損が少ない」、「高速道路の本線やインターチェンジの坂道をすべてクリア」、「着脱が容易 」、「関越トンネルを装着したまま走行できる」、「 滑らかな走行」、「アイスバーンに強い」、「600km以上の耐久性」といった特徴を備えている。
ちなみにこのJASAAという組織。初めて聞いた! という方もいるかもしれないが認定委員の所属に要注目(令和3年7月16日現在)
委員長:NPO法人救急ヘリ病院ネットワーク
委員:科学警察研究所
委員:株式会社高速道路総合技術研究所
委員:一般社団法人日本自動車連盟
委員:北海道大学
委員:警察庁交通局
委員:一般財団法人日本自動車交通安全用品協会
警察庁の附属機関である科学警察研究所や警察庁交通局に所属する担当委員によって認定されるのだから、相当高レベルで耐久性のある商品であることは間違いないだろう。
認定試験は例年1~2月の間に実施し北海道地区において制動試験、登坂試験、耐空転試験、静的けん引試験、耐久試験、緩衝試験及び着脱試験を実施する。
小型トラックおよびトラック/バスについては、北海道地区において登坂試験、動的けん引試験、耐久試験、緩衝試験及び着脱試験をおこなう。
委員を乗せて北海道を600km走行
試験の内容はどれも過酷で非常に高い品質が求められる。
登坂性の試験では勾配平均12%の圧雪路及び勾配平均8%の氷盤路で一旦停止後、再発進したときに滑らかに登坂できることなどが挙げられるがもっとも過酷なのは耐久試験だろう。
耐久性の認定試験は実際にテストを受けるチェーンを装着した車両に認定委員をのせて実際に1~2月の期間、北海道地区を600km走行するのである。
雪道だけではなく一般路での耐久性も重要であるため、600kmのうち圧雪路7:無雪路3の割合でおこなわれる。
「600kmの距離を走行したとき、装置に著しい磨耗がなく、破損、スパイク金具の脱落など各部に異状がないこと」が耐久性認定のための条件だ。
いくつもの厳しい認定試験をクリアした製品には「JASAA」認定マークが付与される。
厳しい認定試験を受けた非金属チェーンのメーカー(全6社)と主な商品を紹介しておこう。
合同会社アイコ:NETGEAR、サイバーネットツインロック2、マルチロック、スノーゴリラ フェルマーレなど
株式会社アムス:タフネスクロス、エクスグリップ、スノーアドヴァンスなど
株式会社コイズミ:イエティ スノーネット RV、イエティ スノーネットWDなど
株式会社ソフト99コーポレーション:救急隊ネット、救急隊ネット改
コーニック:RESISTO
なお、手軽で場所を取らない非金属チェーンとして近年人気を集める「布製チェーン」については、認定試験に参加したことはないそうだ。
あるメーカーの担当者いわく、「布製チェーンはあくまでも緊急用。到底、600kmもの距離を走れるはずはありません」とのこと。
たしかに布製チェーンは無雪路に非常に弱い。
アスファルトの上を10数m走っただけで破れてしまった経験もある。
また乾いた圧雪路では滑り止め機能が働くが、都心に積もる水分が多く溶けやすい雪では雪氷が接地面に張り付いて滑りまくる。
クルマにあったタイヤチェーンを所有していない状態で大雪警報が出た場合、極力出かけないことが1番だが、どうしてもクルマで出かけなくてはいけない場合は早めに信頼できる安全な滑り止め装置を用意しておくことを切におすすめする。