デモラン後、そのまま入札 オークションをサーキットで RMサザビーズ・ギカス・コレクション解説
公開 : 2021.12.27 20:35 更新 : 2021.12.27 22:11
珠玉のレーシング・マシンを収集していたカーコレクションが競売に。その舞台は仏ポールリカール・サーキットで、入札前にデモランを行うという驚きの演出でした。
フランス有数のコレクションが放出
ル・マンを始めとする耐久レースで活躍したスポーツ・プロトタイプ・マシンとGTマシンを中心に、さまざまなレーシング・マシンを収集していたギカス・コレクションが放出されることになった。
セールを依頼されたRMサザビーズは粋な演出を図った。
それはレーシング・マシンが多いことから、オークションの会場を南仏にあるポールリカール・サーキットとしたのである。
このオークションの凄いところは、サーキットが舞台というだけではなく、出品車両が入札前にコースを実際に走るという素晴らしい演出がなされたこと。
レーシング・マシンが22台と、レアモデルが揃うロードカーが54台。レーシング・マシンンのスペアパーツやエンジンなどが10アイテム用意された。
今回の主役は1976年ルノー・アルピーヌA442だ。
アルピーヌA442とは
1978年のル・マン24時間レースでデレック・ベルとジャン=ピエール・ジャリエが乗り優勝候補だったが、ギアボックストラブルにより惜しくもリタイアした個体。
この年はディディエ・ピローニとジャン・ピエール・ジョッソーがドライブしたA442Bが、ポルシェを下してルノーにとって初となるル・マン24時間の総合優勝を勝ち取った。
また、スクーデリア・ベランコートが製作した1981年フェラーリ512 BB/LM は、独自のスタイリングを備える貴重な1台といえる。
このほか1976年TOJ SC304、1978年ローラT298、2012年ローラB12/80 IMSAが並んだ。
GTマシンでは当時のワークスチームだったトム・ウォーキンショー・レーシングから1993年のル・マンに参戦した1993年ジャガーXJ220C LMが姿を現した。
最高値は、フェラーリ575GTC
このほかフェラーリは575GTC、458GTD、430GTC、360チャレンジが出品。
さらに、2001年ポルシェ996ターボSCCA、2002年リスター・ストームGT、2007年アストン マーティンDBRS9、2012年アウディR8 GT3と幅広く用意された。
コレクションにはF1マシンもあり、1977年マーチ771、1990年アローズA11B、1999年プロストAP02エンジンレス(エンジンを含むスペアパーツ1台分は別に出品)が並んだ。
またクラシックモデルでは、1967年ローラT70 Mk-III、1967年ホルマン・ムーディ・フォードのほか、1970年ヒューロン4Aといったマイナーなモデルまで姿を見せる。
幅広いモデルが用意されたレーシング・マシンだが、最低落札額の設定はなかった。
終わってみれば全車が落札され、最高値を記録したのはフェラーリ575GTCだった。
フェラーリ575GTCが評価されたワケ
主役だったルノー・アルピーヌA442は健闘したものの2億9315万円にとどまる。
同時に出品されたシリンダーヘッド、ブロックを始めとする膨大な数のスペアパーツ・セットは3120万円で落札されている。
フェラーリ575GTCは最後のファクトリー製12気筒レーシングGTであることが評価され、アルピーヌのル・マンカーを上回る3億4434万円まで値を上げた。
もう1つのル・マンカーであるジャガーXJ220 C LMは、いまひとつ入札が伸びず1億742万円で終える。スクーデリア・ベランコートのフェラーリ512BB/LMは、人気を集め2億5659万円を記録した。
F1マシンは人気モデルではなかったため、マーチ771が4087万円、アローズA11Bは2093万円、プロストAP02は2243万円で、エンジンやモノコックを含むスペアパーツ・セットは507万円で落札された。