トヨタ・クラウンどうなる 2023~24年登場? SUV化、それともEV化?

公開 : 2022.01.02 08:25

時代変化の波に押されて

1990年のクラウン年間販売台数は21万台で、クラウン史上最多を記録する。当時、時代はまさにバブル期の真っ只中だ。

比較として、2020年の軽自動車を含む国内全モデルでのトップが、Nボックスの19万6000台である。90年当時のクラウン全盛を今の若い世代はまったく想像できないだろう。

だが90年代後半から2000年代にかけて、クラウンの存在感は弱まっていく。

レクサスに加えて、ドイツ車など欧州車の日本市場に対する攻勢が始まり、また庶民のクルマに対する価値観が多様化したことで、日本でもSUV需要が生まれてきたからだ。

2000年代以降、クラウンの年間販売台数は5万台程度まで落ち込む。累計販売台数で見ると、12代目(23.5万台)、13代目(16.5万台)、14代目(21.2万台)という推移だ。

そうした中、2018年に登場した現行の15代目。筆者は静岡県内の私有地でおこなわれた報道陣向けプロトタイプ試乗会に参加したが、その際にトヨタ開発関係者らは「40代から50代のユーザーにとって日本車の新しい価値観を知って欲しい」と開発主旨を強調した。

ショーファーカーとしての上級モデルから、ターボエンジンのスポーティモデルまで、クラウンとしての幅を広げたのだ。

最新プラットフォームTNGA採用の走りは、試乗会現地に用意されていた14代目と比較するとその進化の大きさが実感できた。

クラウンEVもありか?

トヨタの製品企画の視点を、筆者なりに解釈すれば、次期16代目クラウンは15代目で採用したTNGAをブラッシュアップし、デザインでもいわゆる正常進化する流れが想定できるだろう。

パワートレインについても、ハイブリッド搭載モデルを主体として、RAV4 PHVやレクサスNX 450h+で培われたプラグインハイブリッド車技術の搭載も視野に入るはずだ。

ところが、こうしたトヨタとして、またクラウン開発として王道である積み上げ式の考え方が通用しない事態となってきた。

先日の「バッテリーEV戦略に関する説明会」の中には、「近未来のクラウン候補」のようなセダンやクロスオーバーSUVの姿もある。

当然、プラットフォームはEV専用化である。

そうなると、クラウンというモデル名称を継承するTNGA採用モデルと、もしかすると「クラウン◯◯◯」と命名されるバッテリーEVが併売される可能性があるかもしれない。

2020年11月に中日新聞が次期クラウン計画をスクープした時点で、果たしてトヨタとしてクラウンの早期EV化をどこまで想定できていたのか?

いずれにしても、15代目登場から数えると、2023年から2024年頃には次期クラウンの全貌が明らかになるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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