メルセデスAMG EQS 53 4マティック+へ試乗 761psの四駆 AMGのプライド 前編
公開 : 2022.01.06 08:25
AMGがチューニングを施した純EVサルーン、EQS 53。上質さと動的能力に英国編集部は感銘を受けたようです。
最高出力761ps、最大トルク103.7kg-m
メルセデスAMGのスペック表に並ぶ、桁外れた数字には見慣れた感がある。だとしても、AMGとしては初の量産純EVとなるEQS 53 4マティック+の数字には、思わず感嘆の声を漏らしてしまう。
AMGダイナミックプラス・パッケージを搭載したEQS 53の最高出力は761psで、最大トルクは103.7kg-mに達する。4.0L V型8気筒ツインターボを搭載したAMG GT 63 S 4ドアクーペより、120psと12.1kg-m以上もパワフルなのだ。
この豪腕を叩き出しているのは、メルセデス・ベンツEQS 580と基本的には同じシングルスピードATのツインモーター・システム。そこへ更なるパフォーマンスを与えるべく、AMGの手でしっかりチューニングが施されている。
知的な四輪駆動システムを採用し、0-100km/h加速に要する時間は3.4秒。車重2575kgだということを考えると、唸らざるを得ない。ディーラーで買える最速の4ドアモデル提供するというAMGのプライドは、純EVでも堅持されているようだ。
通常のEQSと、見た目の差別化も忘れていない。フロントバンパーの上には、ワイドなパナメリカーナグリルが鎮座。アダプティブ・デジタルヘッドライトが標準装備される。
両サイドのエアインテークにはスプリッターを備え、内部の可動式フィンがホイールハウス内へスムーズな気流を導く。ボディサイドにはワイドなサイドスカートをまとい、トランクリッドにはスポイラーが付く。リアバンパー下部の造形もAMGのオリジナルだ。
ハイパースクリーンがダッシュボードを占拠
アルミホイールは標準が21インチで、エアロかヘリテイジという2種類のデザインから選択可能。オプションで22インチも選べる。
全体のデザイン処理は効果的といえ、EQSにAMGらしい風格を与えている。だが通常のEQSで選択できる、AMGラインと大きく違わないと感じる読者もいるだろう。
ボディキットの影響で、EQS 53の空気抵抗を示すCd値は、0.20から0.23へ増えたという。フロントグリルはほぼ前面がブランクで、シャシー下面はフラットに仕上げられているのだが。
インテリアは、ボディの見た目以上にスポーティな雰囲気が強調されている。サイドシルのプレートにはAMGのロゴがあしらわれ、AMG専用のマルチファンクション・ステアリングホイールには、ドライブモードを選べるロータリー・コントローラーが付く。
目玉といえるのが、ダッシュボードを占拠する、ハイパースクリーンと呼ばれる幅1.4mにも及ぶ大きなモニター。中央と助手席側はインフォテインメント用で、運転席側のメーター用モニターには、AMG仕様のグラフィックでスピードなどの情報が表示される。
ペダルもスポーティなタイプ。前席はAMGのスポーツシートで、標準では環境に配慮した合成皮革で仕立てられるが、本皮のナッパレザーもオプションで選べる。赤いステッチのコントラストが効いている。
見た目だけでなく、手に触れた感触も隅々まで高級。並べるライバルが限られるほど、豪奢な雰囲気のインテリアだと思う。