メルセデスAMG EQS 53 4マティック+へ試乗 761psの四駆 AMGのプライド 前編

公開 : 2022.01.06 08:25

駆動用モーターはAMGがチューニング

EQS 53の土台をなすのは、EVA IIというプラットフォーム。広くフラットなフロアが特長で、広々とした車内空間を叶えている。

ゆったりした車内に座ると、巨大なハイパースクリーンに圧倒される。少し時間を費やして、運転支援などの各機能やインフォテインメントを司るMBUXシステムに慣れると、さほど難解なクルマではないことに気付く。簡単ともいえないけれど。

メルセデスAMG EQS 53 4マティック+(欧州仕様)
メルセデスAMG EQS 53 4マティック+(欧州仕様)

「ハイ、メルセデス」で起動する音声認識機能を介せば、スマートに殆どの機能を操作できる。ただし、話しかけてから実行までの間に僅かな思考時間がある。もう少し反応が早くなれば、より直感的なものになりそうだ。

ステアリングホイールのスポーク部分には、タッチセンサー式のパネルが並ぶ。便利なショートカットも用意されている。

大きく優雅なフォルムのボディには、リフトバック風のテールゲートが開けられ、荷室容量は610Lある。リアシートを折りたためば1770Lまで拡大でき、実用性は高い。

AMG仕様のEVシステムは、2基の同期モーターが主役。リア・サブフレームにメインの駆動用モーターが搭載され、フロント側には高速域などで活躍するひと回り小さいものが載る。一般的な走行条件では、主にリアモーターがEQS 53を動かす。

この駆動用モーターは、通常のEQSより高回転を許容するようにチューニングを受けている。コイルの構造などが異なり、大きな電流を受け入れて強力な磁場を生成。電流を制御するインバーターのソフトウエアも、AMG仕様だという。

バッテリーは107.8kWh 航続距離は最長585km

駆動用モーターの冷却システムも、ローターのシャフト部分などを中心に改良。内部の放熱フィンを増やしたり、インバーターにセラミックを採用するなど、細部まで抜かりはない。シングルスピードATにも、2基目のフルードクーラーが追加されている。

その結果、EQS 53は最高出力658ps、最大トルク96.6kg-mを獲得。通常のEQSより134psと9.5kg-mほど高い。さらにダイナミックプラス・パッケージを指定すれば、先出の最高出力761ps、最大トルク103.7kg-mへ引き上げられる。

メルセデスAMG EQS 53 4マティック+(欧州仕様)
メルセデスAMG EQS 53 4マティック+(欧州仕様)

ちなみにテスラモデルS プレイドでは1020psと141.4kg-m、ポルシェタイカン・ターボSは761psと106.8kg-mが与えられている。ライバルもたくましい。

駆動用バッテリーは、電圧400Vで容量が107.8kWh。AMGとしてハイパワーを素早く長時間引き出せるよう、マネージメントシステムにも改良が施されたそうだ。

充電能力は、最大200kWの急速充電器に対応。最短30分でフル充電にできるという。電費効率は、WLTP値で4.1-4.7km/kWh。航続距離は511-585kmがうたわれる。

ドライブモードは、スリッパリー(滑りやすい路面)、コンフォート、スポーツ、スポーツプラスという4種類が基本の選択肢。インディビジュアル・モードも付き、アクセルペダルとステアリングホイールの反応や、サスペンションの硬さなどを個別に指定可能だ。

車重はAMG GT 4ドアクーペより約500kgも重いが、コンフォート・モードでも発進加速は並外れている。トラクションも驚異的で、内燃エンジン版のフラッグシップに並ぶ動的能力を備えていることは疑いようがない。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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