ホンチーE-HS9へ試乗 中国の高級電動SUVが欧州へ デザイナーは元RR在籍者

公開 : 2022.01.09 08:25

不満のない加速力にスムーズな乗り心地

ノルウェーで販売されるE-HS9は、3列の6シーター。2列目はフロントシートのように独立タイプなものの、マサージ機能はない。そのかわり大きなアームレストが付く。ちなみに中国で売られるフラッグシップは、リアシートを優先した2列4シーター仕様となる。

リアシート用としてセンターコンソールの後端に、独立したエアコンの操作パネルとUSBの充電ポートが用意されている。3列目シートへの乗降はリアドアからだが、あまりスムーズではない。

ホンチーE-HS9 フラッグチャン・エディション(中国仕様)
ホンチーE-HS9 フラッグチャン・エディション(中国仕様)

3列目の足もと空間は2列目のスライド位置によるが、頭上空間は充分に確保されている。6名乗車の状態でも、荷室容量も使えるサイズが残る。3列目シートの折りたたみは、電動でワンタッチで済む。

公道へ出てみると、巨大なボンネットが前方に広がり、ボディの大きさを実感させられる。全長5mを超えるものの後輪操舵システムがなく、角を曲がると一層その感覚が強められる。車重も2610kgと軽くない。

E-HS9の質量を考えれば、加速力は充分に納得できる。エアサスペンションを装備し、乗り心地はスムーズ。アクセルペダルを深く踏み込むと、フロントノーズを持ち上げるテイクオフ・スタイルを取る。

ステアリングホイールの重み付けは、多くの中国車と異なり軽すぎない。反応も正確だと感じた。

回生ブレーキの効きは調整できるが、最も強力な設定にしても明確に減速感は強まらない。ワンペダル・ドライブは不可能だ。

欧州仕様では課題の一部を解決

巨大なサイズに存在感のあるスタイリングで、市街地では間違いなく人目を引くE-HS9。しかも中国価格は、車格や豪華さを考えれば比較的お手頃といえる、63万9800元(約1153万円)に設定されている。

ただし、ソフト加工されたプラスティック製部品やシートの素材など、ラグジュアリーさという点では水準以下。装備も充実しているとはいえず、ヘッドアップ・ディスプレイはフラッグシップのみの設定となっている。

ホンチーE-HS9 フラッグチャン・エディション(中国仕様)
ホンチーE-HS9 フラッグチャン・エディション(中国仕様)

0-100km/h加速はメーカー値で4.9秒がうたわれているとはいえ、ドライバーが楽しいと感じるドライビング体験ではない。興奮度は低いといえる。

欧州仕様のホンチーE-HS9では、これらの課題の幾つかが改善されるという。最終的な仕上がりいかんでは、スムーズに欧州市場へ上陸することも難しくはなさそうではある。

ホンチーE-HS9 フラッグチャン・エディション(中国仕様)のスペック

中国価格:63万9800元(約1153万円)
全長:5209mm
全幅:2010mm
全高:1731mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:4.9秒
航続距離:465km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2610kg
パワートレイン:ツインAC永久磁石同期モーター
バッテリー:99.0kWh
最高出力:216ps(フロント)+330ps(リア)
最大トルク:−
ギアボックス:−

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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