三菱デリカ 米で「世界最大の文鎮」になる理由 メイン州でナンバー返納の大騒ぎ
公開 : 2021.12.30 07:05 更新 : 2022.03.25 18:48
三菱デリカが、アメリカの一部の州で登録できなくなる事態が発生。騒ぎになっています。
25年ルール 三菱デリカ全米デビュー
米国には「25年ルール」という、ちょっと古いクルマに対する優遇措置がある。
製造から25年以上経過したクルマは米国の保安基準であるFMVSS(Federal Motor Vehicle Safety Standard)やEPA(排ガス)の基準を満たしていなくても、シートベルトがなくても右ハンドルでも輸入や販売、登録が認められる制度である。
25年ルールが現在の形になったのは1998年だが、日本や米国で注目を集めるようになったのは2010年以降沸き起こって来たJDMブーム、とくに2014年に1989年デビューのR32スカイラインGT-Rが輸入解禁となった前後だと考えられる。
R34までのスカイラインのように米国での正規販売がされなかった日本車は特に人気が高い。
今回紹介する三菱デリカも米国では87年~90年まで4G64型2.4Lガソリンエンジンを搭載したFR車は発売されていたが、4×4の販売はされなかった。
アメリカ車には存在しない「本格オフロード走行も可能な4×4ディーゼル小型バン」というコンセプトも高く評価されており、熱狂的なデリカ4×4オーナーも少なからず存在している。
ところがこのデリカに大変な問題が発生している。
デリカ愛好家に「真相」聞いてみた
デリカ、大変な問題。登録に関することだ。
米国メイン州で突如として明確な理由も公表されず、25年ルールを経て輸入されたデリカの登録ができなくなったという。
新規の登録はもちろん、一度登録したデリカに対してもナンバー返納を命じられている。
これはいったいどういうことなのか。
アンディ・リリエンタールさんはオレゴン州ポートランドに住むフリーランスライターである。
彼は89年のデリカ・スターワゴン(L300 4D56 2.5L)と94年のデリカ・スペースギア(L400 4M40 2.8L)の2台を所有している。
「ディーゼルエンジン、本格的な4×4システム、さまざまな目的に合うインテリアの組み合わせは、キャンプや旅行、冒険のための素晴らしいプラットフォームです」(アンディさん)
「米国製の多くのバンよりも手頃な価格でちょうどいいサイズ。最高です!」
アンディさんは自身が運営する「Crankshaft Culture」や「GEARJUNKIE」 などのメディアで、デリカや日本の軽自動車が2021年5月頃から米国の一部の州で登録ができなくなっていることを報じている。
――デリカの登録は今どうなっていますか?
「現在、メイン州はデリカの路上使用を禁止しています。25年ルールで連邦政府が輸入を許可しても、公道を走るための登録は個々の州が担当しています」
「50州それぞれが免許や登録に関する規則を独自に設定することができるのです」
「メイン州のDMV(日本でいうところの運輸支局)ではデリカが登録不可になったことを明文化していませんが、今年5月頃から州内のデリカオーナーのもとに登録を廃止する知らせが届き始めています」
――登録の廃止は何が理由なのでしょうか?
「米国で販売されるクルマには、安全性と排ガス規制に適合していることを示すFMVSSステッカーがドアの内側に貼られています」
「しかし、25年ルールで輸入されたデリカなどには、このステッカーは貼られない」
「メイン州は、FMVSSステッカーがない車両は公道走行車として登録できないと言っているのです」