【詳細データテスト】ベントレー・コンチネンタルGT 高級高速クーペの傑作 本格スポーツではない

公開 : 2022.01.01 20:25  更新 : 2022.03.15 03:57

高級クーペ市場の人気モデル、コンチネンタルGTの最強版を徹底テスト。スピードの名に期待するスポーティさは物足りなくもありますが、ラグジュアリーGTとしての走りはさらに磨かれました。その点では、妥協なき一台です。

はじめに

コンチネンタルGTスピードのように、大きく高価で、内燃エンジンを積む高級車を造るベントレーみたいなブランドは、いまや残り時間が迫っている。

政府の方針や関連法規は、ガソリンエンジンの販売を今すぐ禁じるものではない。しかし、世論や、それに左右される消費者心理は移ろいやすいものだ。

テスト車:ベントレー・コンチネンタルGTスピード・クーペ
テスト車:ベントレー・コンチネンタルGTスピード・クーペ    WILL WILLIAMS

ゼロエミッションの選択肢が登場するとなれば、大排気量の化石燃料エンジンを積む高級スポーツカーの販売は難しいものになるだろう。それは、英国が2030年に設定したような販売禁止時期を待つまでもなく。

それは、3代目コンチネンタルGTが高性能版のスピードを追加するのに、世代交代から3年を要したことの一因でもある。先代のスピードは、これほど待たされなかった。しかし今回は、そのときほど開発を急かすようなプレッシャーが強くなかったのだろう。

新型GTスピードには、ベントレーの量産車初となるシャシー技術が盛り込まれた。先代のトリを飾ったGTスーパースポーツに比べれば、パワーもトルクもやや劣る。だが、それよりウェイトは軽く、ホイールとブレーキは大きく、駆動系にはよりスペシャルな機能が備わっている。そして、0−100km/h加速の公称タイムは、わずか0.1秒差にまで迫っている。

このGTスピードは、ポルシェのGTカーと勝負する超高級なライバルではない。シンプルに、世界最高の2ドア高級GTというポジションにある。贅沢なまでの快適性や洗練性、そして実用性に妥協はないが、それでいてコンチネンタルGTの速さやハンドリング、さらに運転し甲斐をさらに高めた、といったコンセプトのクルマだ。

はたして、そうしたベントレーの思惑どおりに仕上がっているのだろうか。その辺りを、厳しく吟味していこうではないか。

テスト車:ベントレー・コンチネンタルGTスピード・クーペ

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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