見た目に騙されてはいけないクルマ 35選 前編 羊の皮を被った狼たち

公開 : 2021.12.31 18:05

BMW M5 E28(1985年)

多くの人は、これが最初の「スリーパー」であると思い込んでいる。実際はそうではないにしろ、このE28型のM5は、比較的手頃な価格と日常の使い勝手を両立させた、超高速中型ファミリーセダンの雛形を作ったのである。

街角ですれ違う通行人は、まさかスーパーカーのM1と同じ290psの直列6気筒エンジンを搭載しているなんて、思いもよらないだろう。後のM5とは異なり、外観は標準モデルとほとんど変わっていないのだ。

BMW M5 E28
BMW M5 E28

フォード・シエラ・サファイアRSコスワース(1988年)

シエラ・コスワースといえば、あの巨大なリアウイングが目印だったが、後に登場したモデルでは控えめなデザインになっている。それでも、2.0L 4気筒ターボを搭載し、4輪駆動で最高出力220ps、0-97km/h加速6.6秒というスペックでライバルを驚かせた。

フォード・シエラ・サファイアRSコスワース
フォード・シエラ・サファイアRSコスワース

ランチア・テーマ8.32(1986年)

無名の3ボックスセダンに、フェラーリ製V8をノーズに詰め込んだだけのもの。2.0L 4気筒エンジンを搭載したテーマ・ターボと比べて、それほど速いわけでもない。

テーマ8.32が0-97km/h加速6.8秒、最高速度240km/hであるのに対し、半額で買えるテーマ・ターボは0-97km/h 加速7.6秒、最高速度225km/hとされている。さらに悪いことに、後期の8.32は7.2秒と225km/hに性能が落ちている。

ランチア・テーマ8.32
ランチア・テーマ8.32

メルセデス・ベンツ500E(1990年)

メルセデス・ベンツ500E(W124)は、安価でパワーのない兄弟車と見分けるには目を鍛える必要があった。パワートレインに合わせた専用のフロントバンパー、フェンダー、そしてもちろんリアエンドには「500E(後にE500)」のエンブレムが装着されていた。

エンスージアストにとっては拍手の対象だったが、一般人からすれば普通のタクシーと同じであり、サスペンションが壊れているように見えるだけだった。

メルセデス・ベンツ500E
メルセデス・ベンツ500E

SLから流用した5.0L V8を搭載するためには、前輪を押し出す必要があった。500Eは標準的なW124よりも幅が広いため、メルセデスの生産ラインには乗らず、ポルシェが18日かけてゆっくりと組み立てた。

V8エンジンは326psの出力を後輪に伝え、0-97km/h加速は6.1秒であった。1990年から1995年にかけて生産され、そのほとんど(1528台)が米国に送られた。BMW M5の影に隠れがちな500Eは、現代においても最も興味深いメルセデス・ベンツの1台である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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