見た目に騙されてはいけないクルマ 35選 前編 羊の皮を被った狼たち

公開 : 2021.12.31 18:05

ヴォグゾール・カールトン3000 GSi 24v(1990年)

ロータス・カールトンも候補に上がるかもしれないが、残念ながら(?)ここで紹介するほど地味ではない。一方、ヴォグゾール・カールトン3000 GSi 24vは、標準の上級セダンとほとんど変わらないように見える。そして、その見た目に反して最高速度240km/hを出すことができたのだ。

ヴォグゾール・カールトン3000 GSi 24v
ヴォグゾール・カールトン3000 GSi 24v

ボルボ850 T5-R(1994年)

ボルボは850 T5-Rを作り、ワイルドな一面を見せた。英国ツーリングカー選手権(BTCC)の教訓を生かし、必要に応じてポルシェの意見を取り入れながら、ターボチャージャー付き5気筒エンジンの出力を一時的にオーバーブースト機能で240psまで引き上げたのだ。試乗走行では、0-97km/h加速は約7.0秒で、最高速度は250km/hに達した。

画像のようにイエローの850 T5-Rでは目立ってしまうが、ブラックやダークグリーンといった大人しいカラーリングも用意されている。そのカラーを選んだドライバーは、赤信号で勝負を仕掛けてくる無知な公道レーサーから賭け金を巻き上げることができた。

ボルボ850 T5-R
ボルボ850 T5-R

ボルボ850 T5-Rは、世界市場向けに約5500台が生産された(ほとんどがブラック)。今は500台ほどが走っているようだ。

フォルクスワーゲンパサートW8(2001年)

フォルクスワーゲンの幹部は何十年もの間、パサートを高性能車としてではなく、家族向けの快適なモデルとして位置づける必要があると主張してきた。1977年には、GTIを作らせろという開発陣の要望を却下している。

しかし2001年、フェルディナン・ピエヒの指揮のもと、最高出力270psの4.0L W8エンジンをパサートに搭載すると、フォルクスワーゲン幹部は考えを改めるようになった。つつましいのは見た目だけで、全輪駆動システム「4モーション」の恩恵もあって0-97km/h加速6.3秒という性能を実現している。

フォルクスワーゲン・パサートW8
フォルクスワーゲン・パサートW8

パサートW8は多くの市場で6速MTが標準装備された。専用ホイール、小さなエンブレム、そして4本出しのエグゾーストチップから聞こえる8気筒の“控えめ”な咆哮により、家族向けモデルとは一線を画している。フォルクスワーゲンは、2001年から2004年までパサートW8を製造していた。

ローバー75 V8(2004年)

ローバーV8は、過去半世紀で最も賞賛されたエンジンの1つである。しかし、ローバー社の末期には、むしろ4気筒エンジンを搭載した手頃なファミリーカーを生産していたことで知られている。

ほんの一握りの75(とMG ZT)はフォードのクアッドカム4.6L V8エンジンを搭載。専用のハンサムなグリルとホイールだけが、他の75と一線を画していた。自然吸気で260psを発揮し、ZT用に385psのスーパーチャージャー仕様も開発されたが生産には至らなかった。

ローバー75 V8
ローバー75 V8

ちなみに、75 V8ツアラー(写真)は完全なスリーパーであるだけでなく、17台しか製造されなかったユニコーンであり、今日では9台しか残っていないようである。その希少性が近年、価値を大きく高めている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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