見た目に騙されてはいけないクルマ 35選 後編 羊の皮を被った狼たち
公開 : 2021.12.31 18:25 更新 : 2021.12.31 23:50
ダッジ・キャラバン・ターボ(1989年)
背の高い箱型のミニバンがどうしてここに並ぶのか?ダッジは1989年と1990年のモデルで、2.5L 4気筒ターボ(最高出力152ps)を搭載し、5速MTと組み合わせたキャラバンを発売したからだ。
0-97km/h加速は9秒とスポーツカーの域には達していなかったが、見た目の割にずいぶんと速い。プリムスはボイジャーにも同じドライブトレインを設定した。
フォード・トーラスSHO(1989年)
1986年に発売された初代フォード・トーラスは、米国では瞬く間に石を投げれば当たるほどの存在となった。1989年に登場したスーパー・ハイ・アウトプット(SHO)モデルは、そんな大ヒットモデルの影に隠れた猛獣である。
控えめな外観にヤマハ製3.0L V6エンジンと5速MTを搭載し、220psで前輪を駆動するトーラスSHOは、0-97km/h加速で6.6秒のタイムを記録した。1992年には2代目が発売。SHOの名称は何年も生き続けたが、2019年にフォードがトーラスの生産を終了したため、引退となった(現在は中国のみで販売)。
GMCサイクロン(1991年)
GMCは、280psにチューニングされた4.3L V6スーパーチャージャーをエンジンルームに押し込むことで、S-15をスポーツカー並みのピックアップトラックに変身させた。
0-97km/h加速4.3秒という速さは、シボレー・コルベットを余裕で凌駕しているが、価格は現在の貨幣価値で約4万9000ドル(約560万円)と、ほぼ同等に設定されている。目標とされた3000台を売り切るのに時間はかからず、同じパワートレインが1992年にタイフーンという名のSUVに搭載されるほど人気を博した。
日産セントラSE-R(1991年)
3代目日産セントラは、決して世間を騒がせたわけではない。倹約家のためのシンプルなエコノミーカーだった。しかし、その中でSE-Rは、140psの2.0L 4気筒エンジン(レッドライン7500rpm)を搭載した例外的なモデルであった。
リミテッド・スリップ・デフを装備するものの前輪駆動で、車重は1136kgを切っている。スタイリングの違いは、エアベント付きのフロントバンパー、リアスポイラー、アルミホイールなど。素人目にはノーマルとの区別はほとんどつかないだろう。
プリムス・サンダンス・ダスター(1992年)
レーシングストライプやボンネットスクープがよく似合う初代プリムス・ダスターは、「羊の皮をかぶった狼」のレッテルを貼るにはふさわしくない。プリムスは1979年、1985年、1992年にダスターの名前をパッケージ名として使用しており、今回取り上げるのはそのサンダンス・ダスターである。
サンダンスは、誰が見ても平凡なエコノミーカーだったが、これに141psの3.0L V6を搭載。サンダンスと双璧をなすシェルビー・ダッジCSXと同程度の出力だが、注目を集めるような外観上のアドオンは施されていない。
サンダンス・ダスターはこの6気筒エンジンにより、エコノミーカーとしては立派な0-97km/h加速8.3秒をマークした。