見た目に騙されてはいけないクルマ 35選 後編 羊の皮を被った狼たち

公開 : 2021.12.31 18:25  更新 : 2021.12.31 23:50

シボレーインパラSS(1994年)

シボレーは長年にわたり、あまり速くないクルマに「SS」の名称を付けてきたため、1994年にインパラにこの名が与えられたときも愛好家たちは懐疑的だった。覆面パトカーのような外観だが、260psの5.7L V8エンジンを搭載し、0-97km加速は7.0秒だった。

これだけでは大したことないと思われるかもしれないが、トラックのように頑丈なボディ・オン・フレーム構造を採用し、1818kgを超える重量があったことを覚えておいてほしい。

シボレー・インパラSS
シボレー・インパラSS

米国のチューニングメーカーであるキャロウェイは、400psを発揮するコルベットのV8をインパラSSに搭載し、シャシー改良を加えた独自のバージョンを発売。このパワーアップにより、0-97km/h加速はE34型BMW M5と同程度の5.9秒となった。シボレーは1994年から1996年にかけて、7万台近いインパラSSを生産している。

ビュイック・リーガルGS(1997年)

ビュイックは1997年、4代目リーガルにGSを投入し、エンスージアストをショールームに呼び込む試みを本格化させた。「スーパーチャージャー付きファミリーカー」と宣伝されたこのモデルは、3.8L V6スーパーチャージャーを搭載し、前輪に240psを送り込む。

お爺さんが乗りそうな見た目のセダンでありながら、0-97km/h加速タイム6.9秒、0-400m加速14.9秒という入れ歯が吹っ飛びそうなパフォーマンスを秘めているのだ。

ビュイック・リーガルGS
ビュイック・リーガルGS

マーキュリー・マローダー(2003年)

3代目マーキュリー・マローダーは、ボディ・オン・フレーム構造のグランドマーキーをベースにしており、それだけで性能を不安視させた。引退した戦車のような米国セダンは、どうすればマニアにアピールできるのだろうか。それは、引き締まったサスペンションと、フォードマスタングから流用された302psのV8を搭載することだった。

マーキュリーはバンパーのデザインを変更し、ライトの色を変え、18インチホイールを装着して、控えめながら目的意識の高い外観を実現した。2003年から2004年の間に1万1052台販売された。

マーキュリー・マローダー
マーキュリー・マローダー

ジープグランドチェロキー・トラックホーク(2018年)

ごついグランドチェロキーはジープファミリーの一員なので、通常はオンロード性能とは無縁の存在だ。しかし、トラックホークをオフロードに持ち出したくはない。ダッジ・チャレンジャー・ヘルキャットにも搭載されているスーパーチャージャー付きの6.2LヘミV8エンジンを搭載しているのだから、ドラッグレースがお似合いだろう。

最高出力706psで4輪を駆動するが、トラックホークと標準モデルの外観上の違いはわずかで、路上で不要な注意を引くことはない。しかし、排気音は別物だ……ごまかしようがない。

ジープ・グランドチェロキー・トラックホーク
ジープ・グランドチェロキー・トラックホーク

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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