ハーレーダビッドソン・ライブワイヤーへ試乗 北米の鉄の馬も電動へ
公開 : 2022.01.10 08:25
アメリカンバイクの代表、ハーレーから電動モデルが登場。ライダーも納得の仕上がりだと、英国編集部は評価します。
もくじ
ーここ10年間で最も大きな話題を集めた1台
ー駆動用モーターは105ps 航続距離は152km
ー路上を飛行しているように清々しい
ー電動バイクの楽しさを体験できる
ーハーレーダビッドソン・ライブワイヤー(英国仕様)のスペック
ここ10年間で最も大きな話題を集めた1台
あのハーレーダビッドソンから、電動モデルのライブワイヤーが発売された。筆者が乗ったなかではベスト・ハーレーと呼べるだけでなく、本物の個性すら感じさせてくれる1台だといえそうだ。
ハーレーダビッドソン・ライブワイヤーの価格は、英国で2万8995ポンド(約440万円)から。ハーレーとして最高額ではないものの、安くはない。
ライブワイヤー1台で、電動バイクのゼロ・モーターサイクルSR/Sと、内燃エンジンのヤマハMT-07の2台を購入できてしまう。だが、資金力のあるアーリーアダプター・ライダーを惹きつけることはできるだろう。
ライブワイヤーが発表されたのは2019年。ここ10年間で、最も大きな話題を集めたバイクだといえる。英国のテレビ番組、「ロング・ウエイ・アップ:大陸縦断バイクの旅」にも登場し、すでに高い評価を集めている。
先進技術の企業としてポジショニングを改めるという、ハーレーダビッドソンの決断も、バイク業界で大きな反響を生んだ。Vツインのアメリカンバイクを作ってきたメーカーが、最先端の電動バイクを真っ先に発表するとは、殆どの人が想像しなかったと思う。
伝統あるブランドとして、勇敢なチャレンジだといえる。英国では多くの人が認識しているようで、撮影の合間に電動のハーレーですよね、とたくさん声をかけていただいた。
マーケティング的には幸先の良いスタートを切った、ライブワイヤー。実際に乗った印象はどうだろうか。今回は珍しくバイクへの試乗となるが、少しお付き合いいただきたい。
駆動用モーターは105ps 航続距離は152km
まずはハードウエアの確認から。V型2気筒エンジンの代わりに搭載されるのは、105psの駆動用モーターと、15.5kWhのバッテリー。航続距離は市街地で234km以上、高速道路など複合的な環境では152kmがうたわれている。
現在の電動バイクとしては競争力のある距離だが、画期的な数字ではない。スポーツバイクのゼロ・モーターサイクルSR/Sは、試乗時に259kmを走れている。
ただしSR/Sとは異なり、ライブワイヤーは急速充電器へ標準で対応する。DCで最大13kWまで許容し、0-80%を最短40分、0-100%は最短60分でまかなえる。
丁度いい場所に充電スポット付きのレストランを見つけられれば、昼食をとっている間に充電を完了できるだろう。英国家庭用の3ピン・コンセントにも対応し、自宅でも1時間当たり20kmぶんの電気を蓄えられるという。
製造品質やディティールは、さすがハーレーダビッドソン。従来的なタンク型カウルの上部に用意された充電ポートや、小さな部品にまでコダワリを感じる。オレンジ・フューズと呼ばれるメタリック塗装の仕上げも、圧倒的に高い。
LEDヘッドライトにTFTのメーターパネル、キーレス・イグニッション、ショーワ社製のフォーク、ブレンボ社製のブレーキが標準装備。高めの価格だけのことはある。
スターターボタンを親指で押しただけでも、ライブワイヤーに払われた労力が伝わってくる。TFTモニターの両脇に配されたライトバーがグリーンに灯り、電動バイクがライブ状態であることを教えてくれる。