100年現役? 王立空軍CH-47チヌーク、正式採用から40年 未だ衰えを知らない実用性とは

公開 : 2021.12.31 20:05

導入とメンテナンス

チヌークの価格は3000万ポンド(約46億円)とされているが、防衛調達、独自の装備、継続的なメンテナンスと部品供給契約があるため、そう単純な話ではない。英国防省は14機を新たに購入する14億ポンド(約2170億円)の計画を承認したばかりだ。(かつてコモンズの公会計委員会が「史上最も無能な調達」と呼んだ、5億ポンド近い発注から13年後に8機を使用不能のまま格納庫に放置した件よりは、スムーズに進むことを期待したい)。

中央調達から離れ、専門家の手に委ねれば、物事はもっとスムーズに運ぶ。RAFは、飛行時間や整備に費やした時間などに関して、世界のどのオペレーターよりもチヌークを効率的に使用しているという。また、RAFのパイロットは飛行隊に配属されるものの、米軍のように自分の機体を持つことはなく、隊に所属するあらゆるヘリコプターに搭乗する。

ボーイングCH-47チヌーク(RAF仕様)
ボーイングCH-47チヌーク(RAF仕様)    英国防省

チヌーク部隊のほとんどは統合ヘリコプター司令部の管理下にあり、オックスフォードシャー州ベンソン空軍基地のほかオディハム空軍基地に駐留している。対テロ作戦や災害救助のために、常に最低1機のチヌークが1時間以内に飛び立てるよう待機している。

2019年8月、洪水により決壊の危機に瀕したホエーリーブリッジのダムに400トンのバラストを投下し、ダムの保護を支援した。2020年10月には、英海峡でハイジャックされたタンカーに特殊部隊を降下させた。

しかし、あるエンジニアが言うように、多くのチヌークは「古い機体」であり、手入れを必要としている。チヌーク飛行隊1個を維持するのに必要な人員は180人。チヌークが生き残っている理由は機体そのものにあるが、同時にそれを支える人々にもあるのだ。

抜群の耐久性と信頼性

RAFは初期型がすでに老朽化していることを認識しているが、いまだに後継機の導入を急ぐことはない。その上、何をもって後継機とするのか?1960年代、ボーイング社は今日でも通用する方程式を導き出したのだ。

チヌークと同じような機体を一から設計するとしたら、こんなものになるだろう。視界がよく、装輪車両が入るほど広い荷室、十分な燃料容量、危険のないよう高く引き上げられたローターブレード。後部にスロープをつけ、巨大な軍用輸送機に収まるサイズにすれば、ほら、できあがり。これが定石だ。

ボーイングCH-47チヌーク(RAF仕様)
ボーイングCH-47チヌーク(RAF仕様)    英国防省

チヌークの今後の計画は、整備チームが定期的にメンテナンスを行い、さまざまなアップグレードを施し、稼働を維持しながら効率性を上げていくこと。そして、その巨大な有効性を最大限に活用することである。100年にわたって羽ばたき続けるツインローターの雄姿に期待したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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