復路も要注意 危険「厚着でチャイルドシート」 事故の瞬間、子ども飛びだすことも
公開 : 2022.01.02 13:00 更新 : 2022.03.25 18:48
できるだけ薄着が「安全」
フワフワしたフード付きのジャケットを着せたままでチャイシーに座らせたハーネスを締めた状態から、そのまま子どもを取り出す。
そして、今度は着ているジャケットを脱がせて薄着にした状態で子どもを座らせてみると……上着を着た状態では驚くほどハーネスが緩い状態であったことに驚く。
上着に衝突時の衝撃から子どもを守る拘束力はない。滑りやすい生地でできた上着はすり抜けを促進するといってもいい。
寒い時期に子どもをチャイルドシートに乗せる際には上着を脱がせてできるだけ薄着にして乗せることが安全なのだ。
「え?でも寒いじゃん。風邪ひくよ?」と思われたパパママもいるだろう。
その場合は暖房で温まった車内に入ってから上着を脱がせて座らせればいい。
それでも車内が寒い場合は薄着でチャイシーに座らせハーネスをきつめに締めた状態で、その上から毛布やジャケットを掛ければ良い。
では、ハーネスをきつめに占めるとはどの程度か?
ハーネスと子どもの体のすきまに指1~2本入る程度、もしくは、親指と人差し指でハーネス(ウェビング)をつまむことができなくなるまでというレベルだ。
また、衝突安全性もさることながら、暖房のきいた車内で分厚い上着を着せたまま乗せることは大人でも暑くて不快だ。
「暑い!!脱がせて!」、「汗かいてのどが渇いた!」といえない赤ちゃん、汗をかくことで体温調節をする幼い子どもの場合、保護者が十分に気を付けてあげなくてはいけない。
真冬なのに知らない間に大量発汗し、脱水症状を起こす危険もある。
「密着」がキーワード
寒い時期だからこそ、クルマでのお出かけが増えると思うが、チャイルドシートを使う際には、子ども、チャイルドシート、クルマの後部座席の3つができるだけ密着するように取り付けることが重要だ。
すきまが空いているところに強い衝撃が加わると子どもの身体やチャイルドシート本体の移動量が大きくなるため拘束力が弱まるからだ。
ハーネスをしっかり、指1本が入る程度に締めることが重要なのはもちろんだが、チャイルドシート本体も後席背もたれにしっかり密着させることが重要。
チャイルドシートがヘッドレストに干渉した状態ではピッタリと密着できていない分、事故で強い衝撃を受けた場合100%の拘束力が発揮できるか不安が残る。
チャイルドシートのヘッドレストが後席のヘッドレストに干渉するときは後席ヘッドレストを1番上にあげるか、もしくは外して使えばOK。
なお、チャイルドシート本体の安全性や使用性評価などは独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)による「チャイルドシートアセスメント」で評価されており、その結果も公表されているが、チャイルドシート本体の安全性が高く、使用性の評価が高いとしても、子どもを正しく座らせない限りその安全性は十分に発揮されない。
言い換えれば、アセスメントの評価が低いチャイルドシートでも、ハーネスをしっかり(指1本入る程度)締めて、シートと子どもとチャイルドシートがぴったり密着するように使用していれば、衝突安全性は高まるということになる。
「優」評価のチャイルドシートもハーネスゆるゆるで使っているならそれは大変危険なシートになる。
衝突の衝撃で子どもは飛び出したけどチャイルドシートは無傷でした……といった状況は悪夢でしかない。
分厚い上着を着せたままチャイルドシートに座らせその上から緩くハーネスを締めている状態では事故の強い衝撃から子どもの身体を守ることは困難であり、最悪の場合、死に至る危険もある。
衝突安全性が高い、自動車アセスメント最高点のクルマにシートベルトなしで、または緩めた状態で乗っているのと同じことなのであることだと理解して欲しい。