メルセデス・ベンツCクラス vs BMW 3シリーズ vs ジャガーXF 上級サルーン乗り比べ 中編
公開 : 2022.01.16 09:46
素材や仕上げなどに一貫性がある2台
パッケージングで最も優れていると感じるのは、BMW 3シリーズ。190cm近い身長の大人がリアシートに座っても、3シリーズならXFと同じくらい快適に過ごせる。
メルセデス・ベンツCクラスはモデルチェンジで広くなったというものの、後席では髪の毛がルーフライナーに当たり、膝がフロントシートの裏面へ触れてしまう。前席側も、足もと空間が物足りない。
座面高は3シリーズより高く、シートの包まれ感も少ない。クッションは柔らかいのだが、快適性では及ばないようだ。素材や仕立ても、期待ほどすべてが高いとまではいえないだろう。
ステアリングコラムには、高級感の足りない光沢の強いプラスティックが用いられている。目線より下側の部品でも、成形品質やフィッティングが完璧とまではいえない。
そのかわり、ダッシュボードやドアパネルにはアンビエントライトがあしらわれ、クロームメッキも沢山。近年のブランドらしい雰囲気はある。優れた製造品質も感じ取れる。
それと比べると、3シリーズのインテリアにはデザイン的な派手さはないものの、全体的な素材や仕上げの高さなどに一貫性がある。ジャガーXFの印象も同等。2台の強みといって良い。
トルクが太いCクラスのディーゼル
パワートレインは、3台ともに4気筒ディーゼルターボ・エンジン。2022年初頭のエグゼクティブ・サルーンの動力源としては、あまり適切ではないかもしれない。だが、4代目W205型では、晩年まで英国で最も売れていたCクラスが220dだった。
最新のCクラスへは、ガソリンとディーゼルの両方でプラグイン・ハイブリッドが投入予定。どちらも最長96kmという、EVモードでの航続距離を備えるという。こちらの比較はまた別の機会としよう。
メルセデス・ベンツの4気筒ディーゼルは明らかにトルクが太いが、320dやXF D200より、高負荷時に荒々しい回転フィールやサウンドが伝わってくることがある。高速巡航時の洗練性は、XF D200が一番良いようだ。
ディーゼルエンジンの質感や洗練性、車内との隔離性などを総合的に判断すると、トップはジャガー。次がメルセデス・ベンツで、BMWも拮抗している。Cクラスのユーザーは、1番を望むことだろう。そうあるべきだと思う。
エグゼクティブ・サルーンでは、動力性能より運転のしやすさが優先されるかもしれないが、Cクラスはここで好印象。4気筒ディーゼルはスポーティーとまでは感じないものの、日常的に扱いやすい、スイートスポットと呼べる能力を備えている。
ただし、その能力も近似している。3台ともに高速道路の速度域までたくましくスピードを上げ、粘り強く、燃費も17.0km/Lくらいは充分に狙える。車重が1794kgと1番重いジャガーが、燃費や余力では1番不利ではあるけれど。
この続きは後編にて。