サーブ900 ターボ 英国版中古車ガイド ターボを普及した北欧の名車
公開 : 2022.01.11 08:25
今も根強いファンのいるサーブ900。現代へ続くターボ時代を切り開いた北欧の傑作を、英国編集部がご紹介します。
もくじ
ーターボをファミリーカーへ普及
ー細かな改良が繰り返された900
ースウェーデンの自動車史に刻まれた名車
ーオーナーの意見を聞いてみる
ー購入時に気をつけたいポイント
ー英国ではいくら払うべき?
ー知っておくべきこと
ー英国で掘り出し物を発見
ターボをファミリーカーへ普及
近年ではターボエンジンは一般的なものになったが、かつては珍しい最新技術だった。フルラインターボを掲げ、差別化を狙った自動車メーカーもあったほど。
自動車のエンジンにターボチャージャーが搭載されたのは、1962年のオールズモビル・ジェットファイアーやシボレー・コルベア・モンツァから。1970年代へ時間が進んでも、ターボエンジンを搭載するモデルはほんの一握りだった。
そこへBMWが2002へ、ポルシェが911へターボを採用。伝説的なステータスを獲得するに至り、ターボ技術は急速に進化を始めた。
1977年、今はなきスウェーデンのサーブは、中型モデルの99へターボエンジンを搭載する。不要な排気ガスを逃がすウェイストゲート技術を与えることで、日常的な運転にも適していることを証明した。
さらに翌1978年、サーブは大幅に改良を加えた後継モデルの900を発表。ターボをファミリーカーへ普及させる、立役者となった。
サーブ900のモデルライフは長く、個性的なシルエットのハッチバックとサルーン、コンバーチブルが展開されている。樹脂製バンパーが目立っていたが、飛行機のキャノピーのような滑らかなフォルムが魅力といえた。
ファンの間では1978年から1994年に販売された初代の900を、クラシックと呼んでいる。合計4グレードが存在したが、今回はそのターボモデルに焦点を当ててみたい。
細かな改良が繰り返された900
発売当初、900 ターボの2.0L直列4気筒エンジンは147psを発揮。自然吸気の900より50%近く多い馬力を誇った。1985年には改良された16バルブエンジンを獲得し、177psを達成。活発な走りを求めるなら、こちらの900がオススメといえる。
当時の評論家も、後期モデルの勇ましいパフォーマンスを高く評価。ターボラグを減らした反応の良いドライビング体験が特長だった。
インテリアの品質や走りの洗練性、クルマとしての実用性にも優れていた。荷室容量は602Lもあり、内装パネルなどの作りもソリッド。リアシートには、3名が座れるシートも用意されている。
飛行機に発想を得たというシートは、人間工学に優れ座り心地も良好。長時間のドライブでも、疲れ知らずといえるものだった。
1994年に2代目900へバトンタッチするまでに、初代900には細かな改良が繰り返されている。1981年には3速ATが選べるようになり、1982年以降はノッキングセンサーを搭載し、エンジンを守りながら様々なグレードのガソリンへ対応させている。
同じ1982年には集中ドアロックも追加。1983年には、量産車初となる環境に優しいアスベストフリーのブレーキも採用された。
1987年には後期モデルとしてフェイスリフトを受けている。ヘッドライトやフロントグリル、バンパーなどのデザインが新しくなり、クルーズコントロールも装備。燃費も向上している。