サーブ900 ターボ 英国版中古車ガイド ターボを普及した北欧の名車

公開 : 2022.01.11 08:25

スウェーデンの自動車史に刻まれた名車

長いモデルライフとなったサーブ900だが、そのうちの約25%へターボエンジンが搭載されていた。近年では英国でもめっきり初代を目にする機会が減っているものの、まだ入手困難というまでには至っていない。

900 ターボの魅力を最も味わえるのが、1986年に投入されたスタイリッシュな2ドアコンバーチブルだ。予算は1万ポンド(約152万円)は見ておきたいところ。過走行や追加の整備をいとわなければ、英国では3500ポンド(約53万円)前後から見つけられる。

サーブ900 ターボ(1978〜1994年/英国仕様)
サーブ900 ターボ(1978〜1994年/英国仕様)

スウェーデンの自動車史に刻まれた名車とともに、内燃エンンジ時代の末期を過ごすのも悪くはないだろう。

オーナーの意見を聞いてみる

エド・ウィーバー氏

「99以来、サーブが大好きになりました。これまでにターボエンジンの9-5 エステートや、9-3 コンバーチブルなどに乗ってきましたが、クラシカルなモデルとして900は最も妥当な選択肢といえました」

サーブ900 ターボ・コンバーチブル(1986〜1994年/英国仕様)
サーブ900 ターボ・コンバーチブル(1986〜1994年/英国仕様)

「1987年の16バルブ・ターボのコンバーチブルです。購入金額は当時7000ポンド。走行距離は20万kmを超えていますが、日常的に乗れるようにレストアしてあります」

「走りは最高です。季節を問わず楽しいですが、サーブというブランドがもはや存在しないのは、少し残念でもありますね。あと数年ほどコンバーチブルを維持して、クーペの900へ乗り換えたいと考えています」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

900のターボエンジンの耐久性は驚くほど高い。オーバーホールなしで64万kmも走れたというオーナーもいるようだ。タイミングチェーンは20万km毎の交換。8バルブ・エンジンの方が作業は難しい。

ターボチャージャーは32万kmくらいは問題なく回るが、排気ガスに含まれる白煙には注意したい。ノッキングセンサーなどの電子機器が故障することがあり、パワーの低下や吹け上がりの悪さが症状となる。

ボディ

サーブ900 ターボ(1978〜1994年/英国仕様)
サーブ900 ターボ(1978〜1994年/英国仕様)

ボディの深刻な錆びに悩んでいるオーナーもいる。年式の古い900では珍しくない問題ではある。サイドシルやサンルーフ周辺、給油口、ドアの下面、ホイールアーチ付近が主に錆びる部分。

バッテリートレイやガラス周辺、フロント・バルクヘッド付近などの状態も、購入時はよく観察したい。

トランスミッション

あまり積極的に運転すると、トランスミッションが耐えきれない。初期の4速MTの方が、パワーが低いためにリスクは小さい。

5速MTが壊れると、交換に英国では2000ポンド(約30万円)程は必要になる。試乗時は不意にギアが抜けないか確かめる。優しく運転していれば、48万kmくらいはもつ。

電装系とインテリア

あまり運転に支障が出る部分とはいえないが、一部の修理は予想以上に高い費用がかかることも。ヘッドライナーの剥がれは補修が簡単ではないし、スピーカーグリルの交換部品は見つけにくく高価。

シートは、内側のフォームが崩れてしまうことがある。テキスタイルの色あせも、年式を考えれば珍しくない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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