ACシュニッツァー ACS3スポーツへ試乗 ベースはG20型M3 590psと76.3kg-m
公開 : 2022.01.12 08:25
ドイツのACシュニッツァー社が最新のM3をチューニング。590馬力のサルーンを、英国編集部が評価しました。
もくじ
ー総額約465万円のチューニングメニュー
ー最高出力は590ps ダウンフォースは110kg
ー一層磨きが掛かったボディの動き
ー有り余るほど豊かな動力性能
ーACシュニッツァー ACS3スポーツ(欧州仕様)のスペック
総額約465万円のチューニングメニュー
派手なクルマがお好みでなければ、視線をそらしたくなる見た目かもしれない。最新のBMW M3は、エレガントさでは歴代で1番とはいいにくい。さらにACシュニッツァー社は、そのスタイリングを増長させている。
彼らの最新の作品名は、ACS3スポーツ。1989年にE30型BMW 3シリーズでチューニングをスタートさせたドイツ・アーヘンに拠点を置くチューニングブランドによる、注目のマシンだ。
ACシュニッツァー社のモットーは一貫している。ノーマルのMシリーズをより公道で滑らかに走らせ、アウトバーンでより安定させ、サーキットをより速く周回させること。
G20型と呼ばれるM3のマルチに高い能力を考えると、難しい要求に思える。しかしACシュニッツァー社はいつも、BMWを大幅に向上させるレシピを発見してきた。
ベースのM3に約3万ポンド(465万円)を追加したコンプリートカーだけでなく、範囲を絞ったアップグレード・メニューも用意されている。ACS3スポーツとして仕上げずに、個別に選んで装着させることもできる。
多くの人が選ぶであろうアイテムは、20インチの鍛造ホイール。とても軽量な逸品だ。あるいは、リアウイングなどのボディキットに惹かれるオーナーもいるだろう。
ACシュニッツァーが準備したすべてのチューニングを施すと、車両代と合わせて11万ポンド(約1705万円)を超えてしまう。全部乗せを選ぶドライバーは少ないかもしれない。だが、今回筆者が試乗したACS3スポーツは、そのコテコテの1台となる。
最高出力は590ps ダウンフォースは110kg
最も読者を惹きつけるであろう変更が、馬力アップ。通常のM3 コンペティションは510psを発揮するが、ACS3スポーツでは590psへ引き上げられている。最大トルクは66.1kg-mから、M5級の76.3kg-mへ太くなっている。
それを叶えているのが、独自のセカンダリーECU。3年間の保証が付くうえに、BMWの正規保証にも影響を与えないというスグレモノだ。
サスペンションは、KW社製のRSコイルオーバー・キットが組まれる。高速域と低速域とで、伸縮時の減衰力調整が個別にできる。既製品ではなく、KW社とともに高精度なバルブが開発された専用品だという。
また、リアはそのままで、フロント側の車高が15mm低くなるスプリングも選べる。オリジナルのダンパーを残し、コストを抑えることも可能だ。
ACシュニッツァー社によれば、G20型M3のねじり剛性を考慮すると、RSコイルオーバー・キットの効果は大きいとのこと。ジオメトリー自体には、ほぼ変更は加えられていない。
試乗したACS3スポーツは、まだ完成段階ではなく、サスペンションは最終調整を終えていなかった。迫力のあるエグゾーストシステムも。少なくともボディのエアロキットは、仕上がったフォルムにある。
レーシングカーのようなフロント・カナードに厚みのあるスプリッター、ディフューザー、リアウイングなど、マッシブなM3は一層迫力を増している。好みは分かれるかもしれないが、200km/hで110kgのダウンフォースを生み出す効果がある。