ソニー、クロスオーバーSUV型EV初公開 「ソニーモビリティ」今後どうなる?
公開 : 2022.01.09 05:45
ソニーがクロスオーバーSUV型の「VISION-S 02」を初公開。ソニーモビリティの行方を考察します。
ソニーがつくるクルマ?
日本では正月気分がまだ抜けきれない1月上旬、アメリカから大きなニュースが飛び込んできた。
ソニーグループ(以下、ソニー)が「ソニーモビリティ」という新会社を設立するというのだ。
米ネバダ州ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー関連見本市「CES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)2022」でお披露目された。
これまで、ソニーは新製品や次世代型技術の披露の場としてCESを活用してきた。
EVについては、いま(2022年1月)から2年前の「CES 2020」にコンセプトモデル「VISION-S」を公開している。
その後、「VISION-S」を基盤とした、走行可能な実験車両「VISION-S 01」を製作して世界各地で走行する様子が動画で紹介されてきた。
日本国内でも、報道陣向けに「VISION-S」を公開して、ソニーが考える将来事業を説明する場を設けた。
こうした流れを経て、今回は第2弾コンセプトモデルとしてクロスオーバーSUV型の「VISION-S 02」を初公開するとともに、吉田憲一郎会長兼社長がソニーモビリティ設立を発表し「ソニーEVの事業化を探っていく」と発言した。
そのため、テレビやネットでは「ソニーがEV事業に本格参入」というニュースが一気に広がった。
だが、今回の発表をより正確に理解する必要があると思う。
映画、ゲーム、音楽から……
今回の発表を受けて、日本国内では「B2BではなくB2Cもやるとは驚いた」という声が自動車業界やIT業界から聞こえてくる。
B2Bとは、ビジネス・トゥ・ビジネスの意味で、事業者間の取引きを指す。
ソニーが2020年1月に「VISION-S」を公開してから今回のソニーモビリティ設立発表まで、ソニーのスタンスは、自動車産業を含む広義でのモビリティに対して、これまでソニーが培ってきたさまざまな要素技術や量産技術を応用する、というものだった。
その筆頭は、予防安全技術の分野で使う車載カメラのイメージセンサー技術だ。
近年はADAS(先進運転支援システム)が軽自動車から高級車まで標準装備され、さらに段階的に高度化するトレンドが明確になってきた。
ここで、ソニーの事業全体を俯瞰すると、2020年度 連結業績概要(2021年4月28日発表)では、売上高は8兆9994億円。
セグメント別で売上が高い順では、ゲーム&ネットワークサービスが2兆6563億円、エレクトロニクス・プロダクツ&ソルーションが1兆9207億円、金融が1兆6689億円、イメージング&センシング・ソルーションが1兆125億円、音楽が9399億円、映画が7588億円と続く。
つまり、EVコンセプトモデルは、イメージセンサーや、映画、ゲーム、音楽などソニー既存の事業の全体像をB2B向けに具現化した存在という見方ができる。