加速性能ランキング トップ10 実世界で計測されたハイパフォーマンスカーの実力とは
公開 : 2022.01.15 06:05
英AUTOCAR編集部がこれまで試乗してきた全モデルの中から、加速に秀でたモデルをランキング形式で紹介。
もくじ
ーメーカー公称値に頼らない独自のテスト
ー1. ブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツ
ー2. フェラーリSF90ストラダーレ・アセット・フィオラノ
ー3. ポルシェ918スパイダー
ー4. マクラーレン・セナ
ー5. アリエル・アトムV8
ー6. マクラーレンP1
ー7. マクラーレン720S
ー8. フェラーリ488ピスタ
ー9. ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ
ー10. マクラーレン600LTスパイダー
メーカー公称値に頼らない独自のテスト
英AUTOCAR編集部がこれまでにテストした市販車の中で、最も加速性能の高い10台を紹介する。
新型車の加速性能評価を見るのは簡単だが、その比較はしばしば難しく、誤解を招くことがある。停止状態からの発進加速に関しては、ベンチマークの基準が微妙に異なるため、数値だけを見て単純に比較することはできない。
例えば、欧州のメーカーは「0-100km/h加速」に相当する「0-62mph加速」のタイムを表示するのが一般的だが、一部のメーカーでは「0-97km/h加速」に相当する「0-60mph加速」を表示している。
一方、米国を拠点とするメーカーの中にも、「0-60mph加速」の性能を主張するものがあるが、これはドラッグレース方式の「ワンフット・ロールアウト」という指標に基づいている。発進時の最初の1フィート(0.3m)を無視するため、「静止状態からの加速」の数値と比較するには公正な基準ではない。
北米ではこのような慣習があるため、例えばシボレーやテスラが主張する発進加速とポルシェ、フェラーリ、メルセデスAMGのそれを比較することは大きな問題がある。
では、メーカーや地域によって評価基準が異なるようなカタログ上の性能数値ではなく、実世界での性能のポテンシャルをより公平に、より代表的に測定できる方法はあるのだろうか?答えは「イエス」だ。
以下は、英AUTOCAR編集部による独自の性能テストを受けた、これまでで最も加速の速いパフォーマンスカーのリストである。一般的な0-97km/hや0-100km/h加速のタイムではなく、48-113km/h(30-70mph)加速でのタイムに基づいてランク付けされている。また、静止状態からの発進加速として0-402m(1/4マイル)の結果も併記した。
つまり、メーカーが主張するような数値とは異なるものである。燃料を満タンに入れ、2人の乗員を乗せた状態で、(追い風の影響等を考慮して)平坦な路面を2方向に往復するという条件下での結果だ。
はじめに断っておくと、編集部は発売される全モデルで試乗・性能テストを実施できているわけではない。英国未導入の最新モデルや希少なハイパーカーなど、今回のリストで除外されているものが少なからずあることをご承知いただきたい。
1. ブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツ
48-113km/h加速:1.7秒|0-402m:10.1秒(238km/h)|テスト実施日:2011年3月2日
英AUTOCAR編集部がブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツのテストを行ってから、もう10年以上になる。48-113km/h加速における史上最速の市販車として、10年以上経ったいまでもその王座は揺るがない。
ブガッティはまだシロンのロードテストを承認していないが、現行モデルの引退を控えていることから、近いうちにテストを実施できるのではないかと期待している。
“ギガワット級”電動ハイパーカーの新時代において、このヴェイロンの地位は遅かれ早かれ奪われることが予想される。だが、それを達成できるEVはわずかだろう。そして、EVにトランスミッションを搭載しない限り、1200psのブガッティのように、400km/hを超える加速は難しいかもしれない。
「もしヴェイロン・スーパースポーツがマクラーレンF1の10秒後にスタンディング・スタートを切り、マクラーレンが210km/hに達したとしても、ブガッティはまったく同じタイミングで320km/hに達することができる」と、当時のAUTOCARのテスター陣は記録している。
「TVRグリフィスを2台、同時に工業用エアホースを走らせているようなものだ。今までの市販車では感じられなかったような、心を揺さぶるような加速がある」