ヘネシー・ヴェノムF5 最大出力でのテスト走行公開 500km/hの壁を破れるか

公開 : 2022.01.11 18:05

限定24台、価格は2億円以上

市販モデルとコンセプトカーの違いは、ほとんどが空力に関するもので、ウィングやディフューザーが大きく異なる。このクラスでは珍しく、可動式のエアロパーツは備わっていない。

生産責任者のデビッド・デイビスは、過度な空気抵抗を発生させることなく、高速走行時の安定性を確保するために十分なダウンフォースを生み出すことを目指したと語っている。コンセプトで目標としていた空気抵抗係数0.33は、現在では0.39と十分な数値を確保している。

ヘネシー・ヴェノムF5
ヘネシー・ヴェノムF5

それ以外のデザインはコンセプトとほぼ同じで、バタフライドアやハイパーカーとしては十分な居住空間を備えているほか、レザーとカーボントリムの組み合わせで仕上げられている。リアセクション全体が1枚のカーボンでできており、CNC加工(コンピューターの数値制御による機械加工)されたベントホールを備えているなど、印象的なディテールがいくつも見られる。

その圧倒的なパフォーマンスにもかかわらず、中低速域でも運転しやすいように設計されており、サーキットだけでなく一般道にも対応している。

ダブルウィッシュボーン・サスペンションはパッシブ・ダンパーを採用しているが、バンプとリバウンドのストロークを調整することができる。また、加速重視の「ドラッグ」、究極のスピードを追求する「F5」など、5つのドライビングモードが用意されている。

最初の個体は英国で製造されたが、以降は米テキサス州で製造される。生産台数は24台限定で、価格は210万ドル(約2億2800万円)だ。

最高速度記録の更新に自信

ジョン・ヘネシーはヴェノムF5について、2014年にケネディ宇宙センターで435km/hの双方向(往復)平均時速を記録したヴェノムGTよりも「かなり速くなる」と断言している。ただ、市販車としての最速記録を出して、その性能を証明したいと考えているものの、問題はNASAの滑走路の利用可能なスペースが限られていることだと述べた。

「端から端まで、芝生から沼地まで、約5.5kmです。ヴェノムGTは、ブレーキをかけなければならないポイントに到達した時も、まだ加速を続けていました。F5では、理想的なコンディションであれば480km/hに近づくことができると思いますが、ブガッティの数値(490.4km/h)を上回るだけの余裕があるかどうかはわかりません」

ヘネシー・ヴェノムF5とジョン・ヘネシーCEO
ヘネシー・ヴェノムF5とジョン・ヘネシーCEO

「絶対的なV-max(最高速度)を狙うなら、どこかの道路でやらなければいけないと思います」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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