アルファ・ロメオSZ 英国版中古車ガイド 奇抜なデザインにブッソV6の名車

公開 : 2022.01.17 08:25

奇抜な見た目で過小評価されてきたSZ。近年はクラシックとして、評価が上昇中です。英国編集部がご紹介します。

ロベール・オプロン氏によるデザイン

ポルシェ911ランボルギーニウラカンといったクルマは、誰しもが知る存在だろう。都心部なら、同じモデルとすれ違うことも珍しくはない。

それを好まないカーマニアなら、アルファ・ロメオSZはいかがだろう。恐らく、運転していて別のSZを目にする機会は殆どないはず。製造期間は1989年から1991年という短さで、台数も1000台を少し超える程度だった。

アルファ・ロメオSZ(1989〜1991年/欧州仕様)
アルファ・ロメオSZ(1989〜1991年/欧州仕様)

もっと珍しいエキゾチックがお好みなら、ロードスターのRZという選択肢もある。こちらは、さらに少ない300台程度だ。

SZやRZで議論となるのが、その見た目。カッコいいという人と、醜いという人とで、意見が分かれることは今でも変わりないと思う。少なくとも最新モデルも含めて、似たデザインが存在しないことだけは確かだ。

このボディを手掛けたのは、イタリア・ミラノのカロッツェリア、ザガート。恋い焦がれるほど美しいスタイリングを手掛けることもできる職人集団が、これほど賛否が分かれる作品を作るのか、疑問を持たなくもない。

実のところ、SZのデザインを担当したのはザガートではない。SZを製造していたのはザガートだったが、独創的な造形を描き出したのは、デザイナーのロベール・オプロン氏。

シトロエンSMやGSなど、素晴らしいフランス車を創造した才能あふれるデザイナーだ。彼とともにそのデザインを仕上げたのが、アントニオ・カステラーナ氏という、若きデザイナーだった。

なお、2021年3月29日にオプロンはCOVID-19へ感染し亡くなっている。ご冥福をお祈りしたい。

V6ブッソ・ユニットに軽量なボディ

話題を戻すと、その成果には今でも息を呑む。ボディパネルのギャップも目立つが。

感じ方は読者によって異なると思うが、従来のクルマと一線を画すデザインであることは間違いない。そして、アルファ・ロメオとザガートという名門から生まれながらも、近年まで過小評価されてきたクラシックとなってきた。

アルファ・ロメオSZ(1989〜1991年/欧州仕様)
アルファ・ロメオSZ(1989〜1991年/欧州仕様)

アルファ・ロメオSZの見た目以外の特長は沢山ある。プラットフォームはアルファ・ロメオ75のものを短縮したもので、タイヤはスポーティなピレリPゼロが標準。

エンジンは、210psを発揮するトリノ生まれの3.0L V型6気筒自然吸気。開発したエンジニアの名を借り、ブッソ・ユニットと呼ばれ、美しいサウンドで多くの人を虜にした名機といえる。その内容にふさわしく、運転は非常に楽しい。

サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがドディオンチューブとワッツリンク。ダンパーは調整式を採用し、乗り心地は硬めながら悪くはない。

トランスミッションはショートレシオの5速MTで、リア側に配置するトランスアクスル・レイアウトが与えられている。FRP製のボディは、非常に軽量。パワーウエイトレシオも良好で、0-100km/h加速は6.9秒、最高速度は246km/hを実現していた。

インテリアも見ごたえ充分。素晴らしいサポート性を備えるバケットシートが組まれ、着座位置は適度に低い。ドライビングポジションもしっくり来る。ちなみに、右ハンドル仕様のSZは作られていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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