アウディA6 詳細データテスト 快適志向 パフォーマンスやハンドリングは無難 静粛性はかなり優秀

公開 : 2022.01.15 20:25

最近はスポーティさを強めているアウディですが、かつての魅力は外連味がない洗練性。それを思い出させるのが、今回のA6のPHEV。必要十分以上の性能を持ち、きわめて静かで快適。この手のクルマとしては最上の部類です。

はじめに

アウディのようにテクノロジー面で先進的なブランドには、プラグイン電動車へもいち早く参入することが期待された。ところが、この10年ほどの上級PHEV市場を振り返ると、違う考えを持つのではないだろうか。

この方面のビジネスをリードしてきたのは、アウディではなかった。それはボルボであり、BMWであり、さらにフォルクスワーゲンが、ずっと先んじてきだのだ。

テスト車:アウディA6 50 TFSIe Sライン・クワトロ
テスト車:アウディA6 50 TFSIe Sライン・クワトロ    LUC LACEY

しかしながら、最近になって本腰を入れているのはライバルたちかもしれないが、じつはアウディは長らく、ガソリンでもディーゼルでもハイブリッド化を模索してきた。今でこそPHEVのラインナップは期待通りの幅広さだが、過去にはその草分けとなった、あまり知られていないモデルも存在する。

最初のガソリンハイブリッドは1989年、100アバント・クワトロがベースのデュオだった。5気筒ガソリンをフロント、12psの電気モーターをリアに積み、外部充電を行う、いわばアウディ初のPHEVだが、市販化は見送られた。その後、1997年にはA4アバント・デュオが登場。ディーゼルハイブリッドで量産されるも、ユーザーの支持を得ることなく消えていった。

2010年には、ヴァンケルロータリーを用いた野心的なコンセプトモデル、A1 Eトロンが発表される。やがて、2014年にはA3スポーツバックEトロン、2016年にQ7 Eトロンといったハイブリッドモデルを発売。Q7 Eトロンには、ガソリンベースとディーゼルベースの両方が設定された。

その後、2019年にアウディは、初の量産EVを投入し、Eトロンという名称はフルEVに与えられることとなった。対してPHEVはTFSIeと、エンジン呼称に電動化を示すサフィックスが付与されることとなる。現在、そのファミリーにはA3、Q3、Q5、A6、Q7、A7、Q8、A8が属している。今回はその中から、A6のTFSIeバージョンをテストする。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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