アウディA6 詳細データテスト 快適志向 パフォーマンスやハンドリングは無難 静粛性はかなり優秀

公開 : 2022.01.15 20:25  更新 : 2022.02.01 23:56

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

アウディの電動化プランは、やり方がうまかった。2017年初頭から2018年末にかけて、A6/A7/A8/Q5/Q8の新世代モデルを次々と繰り出したのだ。そのすべてが、フォルクスワーゲングループのエンジン縦置きプラットフォームであるMLBエヴォのアップデート版をベースとし、バッテリーやモーター、複雑な電装系を積んでPHEV化するのに対応していた。

まずは、2019年のジュネーブショーで、A6 TFSIeクワトロがデビュー。2.0L直4ガソリンに、143psの電気モーターを組み合わせた。それらの後方には7速のDCTが続き、クラッチベースの4WDシステムであるクワトロwithウルトラテクノロジーが採用されている。

A6のPHEVは、2.0L直4ガソリンターボがベース。50TFSIeは299ps/45.9kg-mのコンフォート志向、上位の55TFSIeは367ps/51.0kg-mのスポーティ志向だ。
A6のPHEVは、2.0L直4ガソリンターボがベース。50TFSIeは299ps/45.9kg-mのコンフォート志向、上位の55TFSIeは367ps/51.0kg-mのスポーティ志向だ。    LUC LACEY

用意されたバージョンはふたつ。367ps/51.0kg−mの55TFSIeと、299ps/45.9kg-mの50TFSIeだ。アウディ曰く、55TFSIeはよりスポーティなチューンで、50TFSIeはよりコンフォート寄りに振ったポジショニング。おそらく、後者のテリトリーがアウディの主戦場だというのが、一般的な見方だろう。

競合するPHEVの多くは、バッテリーをキャビンの床下に配置しているが、A6のPHEVはトランクルームの床下にリチウムイオンバッテリーの居場所を求めた。2019年の登場時、その蓄電容量は14.1kWhで、EV走行距離は40kmとされたが、2021年3月の改良で17.9kWhへ拡大し、航続距離は装備内容によって変わるが63〜72kmへ伸びた。

A6の他仕様と同じく、TFSIeも前後独立マルチリンクサスペンションを備える。スプリングはスティールのコイルで、ダンパーはパッシブだ。Sラインは、10mmダウンのスポーツサスペンションが装備される。

一般的に、A6のヴォルスプラング仕様では、アジャスト式エアサスペンションとダイナミック・アクティブ4WSが備わる。ところがPHEVモデルでは、そのどちらも選ぶことができない。

その代わりといってはなんだが、TFSIeにはヒートポンプが標準搭載され、寒冷時のエネルギー効率改善が期待できる。また、スロットルペダルは感覚的なフィードバックをもたらし、ガソリンハイブリッドのエンジンもモーターも、より直感的に操縦できるようになっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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