アウディA6 詳細データテスト 快適志向 パフォーマンスやハンドリングは無難 静粛性はかなり優秀

公開 : 2022.01.15 20:25  更新 : 2022.02.01 23:56

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

走りにかかわるすべてのテクノロジーにより、このA6 50 TFSIeはシンプルに、長距離を快適に走るための高級セダンとなっている。これは、昔ながらのアウディとしては典型的なタイプだ。

ほとんど印象に残ることはなく、目を引くような飛び道具もない。悪天候やひどい渋滞も難なく切り抜けるだろうし、日常使いしている限りはちょっとよそよそしいがきっちり走ってくれる。

予測しやすく、素直で、足取りの確かなレスポンスは、このA6をA級道路で安心して楽にステアリングを操れるクルマにしている。ただし、走りにうるさいドライバーを夢中にさせるタイプではない。
予測しやすく、素直で、足取りの確かなレスポンスは、このA6をA級道路で安心して楽にステアリングを操れるクルマにしている。ただし、走りにうるさいドライバーを夢中にさせるタイプではない。    LUC LACEY

リムの大きいステアリングホイールと累進的なラックを備え、ロックトウロック2.25回転とギア比は低くない。しかし、フィールが薄くほどほど軽い操舵感は、不自然なほど一貫している。そのギア比が許す限り穏やかに操作でき、ゆったりした挙動ゆえにリラックスして乗っていられる。

あるいは、もう少し力を入れて、長距離を速く移動することも可能だが、このクルマのキャラクターそのものはほとんど変わらない。ある程度までは、シャシーに鞭を入れれば、ハードなコーナリングもする。しかし、結局は大きく、ややよそよそしく、重たげなクルマのままで、足取り軽く、俊敏で鋭いと感じさせることは決してない。

ほぼ常にトラクションが得られ、過敏で神経質になることは一切ない。狙ったコーナリングラインに張り付き、グリップや安定感が損なわれることはない。ただ、ナチュラルな身のこなしや派手さはない。

このクルマが本領を発揮するのは、広くてなめらかな道を、大陸横断するようなペースで走るときだ。タイトコーナーや厄介な路面を攻めると、ボディコントロールはみごとだが、手際よくクレバーに、車体を水平に保って、安定してコーナリングするというわけではない。飛ばしたときには、ピッチングや波打ちもそれほどうまく抑えられていない。

複雑な問題を投げかけられると、そのダンピングはありふれたものだということを露呈する。鋭い突き上げを受けるとやや硬くぎこちなく感じられ、大きなバンプなどではピリピリして手に負えないところが出る。そこはただ乗り越えるのではなく、きっちりいなしてほしいところだ。

A6 50 TFSIeは、常にその大きさを意識させる。それは路面が悪いからでも、ペースを上げすぎているからでもない。問題になるくらい重いのが、その理由だといえそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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