新型ノーブル「M500」 年内に生産開始予定 英国スーパーカーメーカー復活の狼煙

公開 : 2022.01.13 06:05

価格は2000万円台前半?

スタイリングは、初公開時より高速走行テストを経てほぼ最終的なデザインになっている。リアウイングはもう少し角度をつける予定だが、ボディ下面はほぼフラットで、大型ディフューザーに空気がスムーズに流れるようになっている。フロントには、マクラーレンや911のような適度な広さのトランクがある。

プロトタイプは、2018年にM600の生産が終了したノーブルのレスター工場で製造され、その後、非常に小さなチーム(合計わずか8名で、うち5名の技術者が車両に触れる)がここまで仕上げた。

ノーブルM500
ノーブルM500    ノーブル

価格未定のため、受注はまだ始まっていないが、セールス&マーケティング責任者のキム・グラウスは、「できる限り身近なものにしたい」と話した。

ブートウッドは、「ノーブルM12やポルシェを持っている人たちが買えるようにしたい」と語っている。各部品のコストなどが完全には定まっておらず、価格の最終決定にはまだ時間がかかるようだが、ブートウッドにとっては「15万ポンド(約2350万円)くらい」が目標だそうだ。

もしその価格帯が実現したら、ノーブルがもともと存在していた市場への回帰に近づくことになる。つまり、エキゾチックなミドエンジン・スーパーカーのスリルを低価格で味わえるかも知れないということだ。

M600は発売当時、20万ポンド(約3140万円)という高額路線を歩んだ。15万ポンドのM500であれば、フェラーリランボルギーニ、マクラーレンを十分に下回る価格で、同等のパワー・ウエイト・レシオを得られるだろう。

目標重量は1250kg

M600は製造に手間がかかるクルマだったが、ブートウッドは、「(M500は)できるだけ簡単に作りたいんです」と話している。

ミドエンジンのエスタブリッシュメントに比べるとパワーは劣るが、そのスポーツカーとしてのピュアさゆえ、重量は軽くなるはずだ。ブートウッドは、プロトタイプの重量は1400kg近くあるが、生産車両では「1250kgまで持っていけると思う」と語った。多くのスーパーカーではこの数値を上回っている。2009年に行われたM600のロードテストでは、燃料を満タンに入れた状態で1305kgという重量を計測した。

ノーブルM500
ノーブルM500    ノーブル

M500には、重量を最小限に抑えるためにカーボンファイバーのオプションパーツが用意されている。ボディ全体をカーボンファイバー製にすることも技術的には可能だが、ブートウッドは「道徳的に正しいことをしたいので」、軽量コンポーネントに何千ポンドも請求するようなことはしない、と述べた。

いずれにせよ、M500の性能は輝かしいものになりそうだ。現在のチューニングでも、3.5LのエコブーストV6は513ps/5250rpmと82kg-m/4000rpmを発揮し、69kg-mのトルクをわずか2500rpmから利用できるのが大きな特徴である。

その加速力は、セミ・オートマチック・トランスミッションやローンチコントロール・システムを搭載したライバル車には到底及ばないかもしれない。しかし、M600では0-97km/h加速を3.5秒で駆け抜けた。M500も同様の速さであることが予想され、ブートウッドによると最高速度は320km/h弱になるという。

M600は、映画『ワイルド・スピード9』の主役の1台として、いまでも注目を集めているが、販売されたのは数十台、ソフトトップのM600スピードスターは2台のみ。会社の資金は2015年にノーブルを購入した中国人投資家が引き受けたものである。

ブートウッドは、M500で年間最大50台の販売を目指している。主流メーカーのライバルに比べればまだ控えめだが、彼は「我々にとっては大量生産だ」と言う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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