新型 メルセデスAMG SLへ試乗 ドライバー・フォーカスの7代目 +2獲得 前編

公開 : 2022.01.15 08:25

新設計のスペースフレーム構造

新しいSLがベースとしているのは、独自のスペースフレーム構造を持つMSAプラットフォーム。アルミとカーボンファイバー、マグネシウム、スチールが適材適所で用いられている。製造はドイツ北部、ブレーメンのメルセデス・ベンツ工場だという。

ハーマンは、従来のMRAからMSAへプラットフォームを変更したことで、車軸の位置を低くできたとも説明する。これに伴い、大幅な低重心化も実現したとのこと。

メルセデスAMG SL 63 4マティック+(北米仕様)
メルセデスAMG SL 63 4マティック+(北米仕様)

このスペースフレームは270kgと軽量。だが、拡大したボディと追加のリアシート、四輪駆動システムなどの採用によって、車重は125kg増えている。現時点でのトップグレードとなるSL 63で、1895kgに達した。

そのかわりボディ剛性は高い。AMG GTと比較して、ねじり剛性は50%も向上したそうだ。

サスペンションも基本的には独自設計。フロントが5リンクのダブルウイッシュボーン式で、リアがAMG GTにも似たマルチリンク式。専用開発のアダプティブダンパーと軽量なコイルスプリングがボディを支える。

SL 63には、油圧制御のアンチロールバーが備わる、アクティブ・ライドコントロールも選択が可能。こちらも新開発となる。

シャシーはまったく新しいと呼べるが、英国へ導入される2種類のエンジンは、おなじみのもの。SL 55に搭載されるM176ユニットは、4.0L V8ツインターボで、最高出力475psと最大トルク71.2kg-mを発揮する。

今回試乗したSL 63に搭載されるのはM177ユニットで、585psと81.4kg-mを発揮。それぞれ0-100km加速は3.9秒と3.6秒、最高速度は294km/hと313km/hに設定される。

多彩な電子制御システムをふんだんに搭載

とはいえ、吸気系やオイルパン、クランクケースに改良を受け、インタークーラーの位置も見直されている。排気系もアップデートされた。SL 63には、負荷に応じて硬さが変化しエンジンの揺れを抑える、アクティブ・エンジンマウントも与えられている。

新しいSLは、ボンネットの長さが一目瞭然。V8エンジンはフロントアクスルの後方に搭載され、前後の重量配分も改善した。

メルセデスAMG SL 63 4マティック+(北米仕様)
メルセデスAMG SL 63 4マティック+(北米仕様)

エンジンと結合されるトランスミッションは、AMG MCTスピードシフトと呼ばれるウェットクラッチ式の9速AT。ステアリングホイールにシフトパドルが付く。

SL 63には電子制御のリアデフが標準。SL 55でも、オプションのAMGダイナミックプラス・パッケージの一部として追加が可能だ。

ドライブモードには、スリッパリー(滑りやすい路面)とコンフォート、スポーツ、スポーツ+、インディビジュアルの5種類が用意された。さらにSL 63には6番目のレース・モードも備わる。

電子制御のスタビリティ・コントロール、AMGダイナミクスも搭載。ベーシックとアドバンスド、プロ、マスターの4段階で、操縦の自由度を拡大してくれる。

メルセデスAMGによれば、最新のS 580eに準じたプラグイン・ハイブリッド版も計画にあるという。ただし、早くても2022年後半まで待つ必要がある。純EV版の噂もあるが、これは明らかにしていない。

予習はこのくらいにして、新型SLの長いドアを開いてみよう。Sクラスに準じるデジタル技術とコネクティビティを備えた、豪華で実用的なインテリアが目指されたという。実際、6代目からの進化は顕著だ。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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