キア・スポーテージ 1.6 T-GTi HEVへ試乗 大胆なデザインで5代目へ進化 前編

公開 : 2022.01.31 08:25

キアのミドルサイズSUVが、意欲的なスタイリングと先進技術を搭載してモデルチェンジ。英国編集部が評価しました。

リスクを恐れない前衛的なデザイン

21世紀に入ってから、キアの新車開発は欧州から注目を集めている。かつては欧州車のデザインを模倣したような例が多かったものの、近年では魅力的なモデルを数多くショールームに取り揃えている。

日本では馴染みが薄いかもしれないが、ソウルにシード、プロシード、スティンガーまで、個性的な見た目だけでなく、それぞれが実力派。突如、キアは一定の評価を得るようになった。リスクを恐れていない姿勢は確かだといえる。

キア・スポーテージ 1.6 T-GTi HEV AWD GTラインS (英国仕様)
キア・スポーテージ 1.6 T-GTi HEV AWD GTラインS (英国仕様)

5代目に生まれ変わったミドルサイズSUVのスポーテージも、そんな1例。キアのデザインは大胆で前衛的なものへ、さらに1歩を踏み出しているように見える。

新しいスポーテージを、可愛らしいと感じることはないはず。明らかに、そんなイメージは狙っていない。だが、3代目での大きな変化と同様に、このモデルにとって問題ではないのだろう。有機的で洗練されたスタイリングが目指されている。

明らかに、フロントマスクは肉食動物的。光沢感のあるブラックトリムが与えられ、SF映画に登場するマシンのように印象が残る。キアの最近の傾向へ沿うように主張は強いが、魅力的に思えるかどうかは、見る人に依ると思う。

ただし、スポーテージの基本的なシルエットは、比較的背の高い典型的なSUV。低いシルエットに、スケートボード状プラットフォームを採用したEV6の方が、さらに革新的ではある。

運転支援システムなど技術面でも意欲的

スポーテージのビジュアル・インパクトへ慣れるまで、しばらくの時間は必要そうだ。2時間ほど試乗させてもらったが、クルマから降りて最後に振り返っても、驚きは薄れなかった。

そんなスタイリングだけでなく、技術面でも意欲的な内容が与えられている。ひと回り大きいSUVのソレントと同じN3プラットフォームをベースとし、軽量で高剛性に仕上げられている。運転支援システムやタッチモニター主体のインテリアも特長といえる。

キア・スポーテージ 1.6 T-GTi HEV AWD GTラインS (英国仕様)
キア・スポーテージ 1.6 T-GTi HEV AWD GTラインS (英国仕様)

パワートレインには、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)も導入予定で、四輪駆動を指定することも可能だ。手頃で従来的なSUVがお好みなら、ガソリンかディーゼルのエンジンに、マイルド・ハイブリッドを組むこともできる。

欧州に導入されるスポーテージは、キアのスロバキア工場で生産されるショートホイールベース版。それでも、4代目と比較して5シーターの車内空間にはゆとりがある。

手頃な価格設定も忘れていない。エントリーグレードのマイルド・ハイブリッドなら、2万8000ポンド(約434万円)を切る価格が英国では設定されている。

今回試乗したのは、左ハンドルのドイツ仕様。1.6Lガソリンターボのハイブリッドで、アダプティブダンパーを除き、基本的には英国へ導入されるGTライン Sトリムと同じ内容だという。タイヤはドイツ仕様のスタッドレスを履いていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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