キア・スポーテージ 1.6 T-GTi HEVへ試乗 大胆なデザインで5代目へ進化 後編

公開 : 2022.01.31 08:26

キアのミドルサイズSUVが、意欲的なスタイリングと先進技術を搭載してモデルチェンジ。英国編集部が評価しました。

燃費やパワーはそこそこでも洗練されたHV

5代目へとモデルチェンジした、韓国キアのSUV、スポーテージ。パワートレインの選択肢がこのクラスとしては豊富なことも、特徴の1つとなる。

今回試乗した1.6Lガソリン・ターボエンジンのハイブリッドも、市場ニーズは高いはず。だがスペック表を比較してみると、ベーシックなマイルド・ハイブリッドのスポーテージとの燃費差は、期待するほど大きくない。

キア・スポーテージ 1.6 T-GTi HEV AWD GTラインS (英国仕様)
キア・スポーテージ 1.6 T-GTi HEV AWD GTラインS (英国仕様)

反面、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のライバルモデルと比較して、価格差が大きいわけでもない。それでいて、燃費やCO2排出量を比べると、無視できないほど違う。悩ましい中間の選択肢に思える。

システム総合での最高出力は230psと、数字のうえでは充分にパワフル。しかし実際に走らせてみると、見込んだほどのパフォーマンスは得られていないようだった。

ハイブリッドは非常に洗練されており、走りはスムーズ。トルクが太く、中間加速のレスポンスも悪くない。それでも積極的に運転するより、リラックスして巡航走行している方が、パワートレインの性格には合っている。

ドライブモードでエコを選択すると、駆動用モーターと内燃エンジンを、システムは巧みに使い分けてくれる。ドライバーへ気付かれないように。市街地などの低速域では不足ない活発さが得られ、15.0km/L前後の燃費を期待できるだろう。

姿勢制御は良好だが硬めの乗り心地

そこからスポーツ・モードへ切り替えると、アクセルペダルの入力に対するパワートレインの反応が鋭くなる。踏み始めは、少し過敏に感じられるほど。エンジンが積極的に回り、高回転域では思いのほかノイズも大きい。

しかし6速ATの反応はやや鈍く、変速でもたつく場面もあるようだ。このモードで思うがままに運転していると、燃費は10.0km/Lを下回ることも。それでいて、運転が楽しいと感じられるほどではない。

キア・スポーテージ 1.6 T-GTi HEV AWD GTラインS (英国仕様)
キア・スポーテージ 1.6 T-GTi HEV AWD GTラインS (英国仕様)

全幅は1865mmあり、公道を走らせるとワイドなクルマに感じられるだけあって、姿勢制御は良好。ステアリングの操作に対して正確にシャシーが反応し、敏捷性も悪くはない。従来のSUVのように、ボディロールが目立つということもなかった。

ただし、ステアリングホイールへは殆ど感触が伝わってこない。運転の楽しさを喚起させてくれる操舵感ではないが、自然なレシオに設定され、扱いやすいとはいえる。

乗り心地は、多くのライバルSUVより硬め。路面の影響を受けやすく、SUVとしてしなやかなサスペンションを求めるユーザーには好まれないかもしれない。だが、よほど荒れた路面でない限り、我慢できないほどではない。

ハイブリッド版スポーテージの具体的な評価は、英国での試乗まで待とう。しかしPHEVを搭載するSUVより車重は軽く、英国仕様のダンパーと夏タイヤを装備すれば、優れたハンドリングを備えるモデルだと呼べそうな予感はある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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