フォード・フォーカスSTエステート
公開 : 2012.06.13 18:26 更新 : 2017.05.29 18:55
■どんなクルマ?
ブルー・オーバルの最新のパフォーマンス・モデル、フォード・フォーカスSTのエステート・バージョンである。英国ではフォーカスSTは年間4,000台の販売が計画されているが、その10%をこのエステート・モデルが占めると予想されている。もちろん、実際の比率がそれより高くなったとしても驚くことではないとフォードの関係者は述べている。というのも、オールラウンドで使用できるしなやかなSTのドライブ・フィールは、ニッチなエンスージャストのためのクルマというよりも、運転していて楽しいファミリーカーというスタンスに立ったものであるからだ。
ワゴンとなって増加したトランク容量は、良い評判を加えるだけのものだ。ボディ・サイズは、ハッチバック・モデルよりも204mm長く21mm高くなっているが、トレッドとホイールベースに変わりはない。驚くことではないが、トランクルームはより長く、より広く、より高くなっている。通常でもトランク・スペースは1148リッター、シートを倒してスペアタイヤを外せば1516リッターの容量を誇る。これは、リデザインされたリア・サスペンションのおかげもある。重さは、ハッチの1362kgに対して、僅かに24kg重い1386kgだ。
その他については、われわれが既にテストしたフォーカスSTハッチバックと大きく代わるところはない。
エンジンもハッチバックと同じ4気筒を積み、スタンディング・スティル0-100km/hが0.1秒遅いだけで、その他のパフォーマンスはほとんど同じだ。
価格は、ハッチバックよりも1,000ポンド(12.3万円)高い23,095ポンド(286万円)からとなっている。
■どんな感じ?
荷室スペースを除けば、本当に何もかもがハッチバック・モデルと同じだ。コクピットに乗り込んだ印象は非常に良い。われわれのテスト・モデルはスタンダードなフォーカスのトリムではなく、中間のST2トリムだったが、取り付けられていたレカロ・シートはホールドも座り心地も良かった。また、ステアリング・ホイールは多くの調整が可能で、装備や器具のクオリティも高かった。
エンジンは魅力的なサウンドと共に火が入り、5気筒エンジンと変わらないエグゾースト・ノートを奏でる。滑らかに回るそのエンジンは、回転を上げると共に活発になる。トルク・ステアが少しだけ特別なクルマに乗っていることを思い起こさせてくれる。
6速ギアボックスはスムーズでシフトが楽しくなる部類のものだ。そして、ステアリングはリーズナブルで、機敏な反応を示してくれるクイックなギア比が与えられている。
2つの電子制御がこのクルマには用いられている。そのひとつは電子制御パワー・ステアリングに内蔵されるトルク・ステア補整器で、もうひとつが低負荷の内側のホイールにブレーキを掛けて外側のホイールに力をより伝えるESPシステムだ。
コーナリング中は、この電子機器が介入していることを感じることができる。従って、滅多にタックインのようなノーズの急激な変化を味わうことはない。また、エステートの増えたボディ重量を感じることもない。
われわれは南フランスの高速道路とマウンテン・ロードを中心としたコースでフォーカスSTエステートをテストしたが、その乗り心地は素晴らしいものだった。疑う余地もなく安定していて、少し荒っぽい激しい路面の凹凸も驚くべきことに吸収してくれた。にもかかわらず、ロールとピッチは非常に良く抑えられていたのだ。リアのショック・アブソーバは、エステート化に伴ってアングルが調整されたが、その影響はまったくと言ってなかった。
このフォーカスSTエステートは、毎日乗ることがでけるパフォーマンス・カーということができよう。
■「買い」か?
時には適度なワインディングを楽しみ、時には家族を優先して荷物を沢山積んで走り回る。そんなオール・イン・ワンのモデルを望むのであれば、魅力的な価格もつけられているフォーカスSTエステートは、まさにぴったりの1台ということができるだろう。
(ジム・ホルダー)
フォード・フォーカスSTエステート
価格 | 23,095ポンド(286万円) |
最高速度 | 248km/h |
0-100km/h加速 | 6.2秒 |
燃費 | 13.9km/l |
Co2排出量 | 169g/km |
乾燥重量 | 1386kg |
エンジン | 4気筒2000ccターボ・ガソリン |
最高出力 | 247bhp/5000rpm |
最大トルク | 34.5kg-m/1750rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |