ジェネシスG70 シューティングブレーク 2.0Tへ試乗 足を引っ張るパワートレイン

公開 : 2022.01.26 08:25  更新 : 2022.01.27 08:18

見た目の印象を鈍らせる8速ATと燃費

G70 シューティングブレークは姿勢制御も好印象で、軽快な回頭性を叶えている。ただし、ステアリングフィールは今ひとつ。切り始めはクイックで手応えが良いのだが、45度ほどステアリングホイールを回すと、突然重さが増すようだった。

積極的なドライバーが求める、正確な感触までは得られにくい。残念に感じるほどではないものの、ここでのBMWとの比較は難しいだろう。

ジェネシスG70 シューティングブレーク 2.0T ラグジュアリーライン(英国仕様)
ジェネシスG70 シューティングブレーク 2.0T ラグジュアリーライン(英国仕様)

そして例のパワートレインも、244psに8速ATという内容からイメージするほど、強い印象を与えてくれるものではなかった。もっと、ドライバーとの相互関係が築けるものであって良い。

特にそう思わせていたのが、トランスミッション。244psと35.8kg-mを意欲的に展開するのではなく、穏やかな走りのために性格付けされているようだ。実際、右足の力を緩めれば、このクラスのベスト・サルーンと同等の洗練性と静寂性に浸れる。

そして、もう1つ気になるのが燃費。カタログ値でも10.5km/L前後で、ハイパフォーマンスなBMW M3 コンペティションと大きく違わないほど。今回の試乗では10.0km/Lを超えることはなく、ひと世代前のクルマのように思えてしまった。

電動化技術の導入まで推奨しにくい

欧州専用設計となる、ジェネシスG70 シューティングブレーク。疑問が拭えない試乗となった。欧州向けとしながら、開発時にパワートレインにまで考えが回らなかったとは思えないのだが。

ヒュンダイ・グループには純EVやPHEVなども存在するのに、なぜマイルド・ハイブリッドすら付かない、内燃エンジンのみの設定なのだろうか。欧州での成功を、自ら制限しているように感じてしまう。

ジェネシスG70 シューティングブレーク 2.0T ラグジュアリーライン(英国仕様)
ジェネシスG70 シューティングブレーク 2.0T ラグジュアリーライン(英国仕様)

ボディのスタイリングも、インテリアの仕立ても、充分に魅力的に映る。ドライビング体験も悪くない。だが電動化技術がもたらされるまで、欧州市場での推奨はしにくいといわざるを得ないだろう。

ジェネシスG70 シューティングブレーク 2.0T ラグジュアリーライン(英国仕様)のスペック

欧州価格:4万700ユーロ(約630万円)
全長:4685mm
全幅:1850mm
全高:1400mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:6.9秒
燃費:10.4-10.7km/L
CO2排出量:212-217g/km
車両重量:1810kg
パワートレイン:直列4気筒1998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:244ps/6200rpm
最大トルク:35.8kg-m/1400-4000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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