新型ホンダ・シビック・タイプR 開発責任者の思い 電動化時代でもタイプRは不滅

公開 : 2022.01.18 05:45

新型ホンダ・シビック・タイプRが世界初公開。電動化の中でタイプRはどう生きるのか、開発責任者を取材しました。

シビック・タイプR初公開

ついに、新型ホンダ・シビック・タイプRの実車が、東京オートサロン2022(2022年1月14日~16日)で世界初公開された。

とはいっても、実車は外観をカモフラージュした状態でステージに置かれており、内装は報道陣にも未公開。

新型ホンダ・シビック・タイプR
新型ホンダ・シビック・タイプR

また、エンジンスペックなど技術詳細についても、ほぼ未公開という状況だ。

それでも、世界中のタイプRファンにとっては、これまでホンダのSNSなどで小出しされてきた関連情報がついに具体化した感動的な瞬間であろう。

こうした中、発表当日に新型シビックタイプRの開発責任者、柿沼秀樹氏に筆者(桃田健史)からいくつか質問をぶつけてみた(以下、Q&A形式での記述とする)。

――これまでの開発について振り返って、今どう感じるか?

「2017年デビューで2020年に商品改良した現行モデル、FK8の開発もわたしが担当した。同モデル開発を受け持つと決まった時点で、その前のタイプRはより速く走るために無駄なものを削ぎ落とすという発想だった」

「サスペンションセッティングもかなり硬めとなっていた。一方で、ベース車としてシビックは(商品戦略によって)車格が上がり、またタイプRでも環境対策への考慮も必要となっていた。力技で速さを求めるには限界を迎えていたと感じていた」

自分で作ったものを、自分で超える

――つまり、タイプRの変化は必然だった?

「乗って感じる信頼感があり、そのうえで快適性がある、クルマの基本性能を満たしたスポーツカーを目指した」

柿沼秀樹氏。1991年に本田技研工業株式会社へ入社。2017年から新型まで、シビック・タイプRの開発を率いる。
柿沼秀樹氏。1991年に本田技研工業株式会社へ入社。2017年から新型まで、シビック・タイプRの開発を率いる。    ホンダ

――そうした間口を広げた考え方がユーザーにも響いた?
「新しいお客さま、そしてもちろんタイプRフリークにも(そうした考え方が)理解され、(結果的に)歴代タイプRの中で販売台数が最も高くなった」

――そのモデルを今回さらに進化させる難しさは当然あったと思うが?

「自分で作ったものを、自分で超える。酸いも甘いも分かっている。そのうえで、何を大事にして進化させようかと……」

「(タイプRなのだから)速さは当然ついてくる。(ちょうどブース内で鈴鹿サーキット走行の様子が映り)あの時もわたし自身で鈴鹿を走ってるが、目指したのは、もっとクルマを信頼して走れるような、人中心の意のままのハンドリング。タイプRとドライバーとの一体感をもっとよくできると考えた」

――それでどう進めたのか?

「5ドアのシビックで進化が礎(いしずえ)にある。それをいかに磨きあげるかと考えた」

――具体的には?

「(きょうの段階では詳細を公開することができないが)例えば、エンジン関連のソフトウエア系をブラッシュアップした。もっともっとよくできると、(そうした実感を持ちながら開発を)やりきった」

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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