なぜ売れる? 中国EV販売台数、前年比150%以上増 飛躍的成長の背景にあるものとは

公開 : 2022.01.19 18:05

世界中で注目を集める電動モデルですが、全体の半数以上が中国で売れています。その急速成長のワケを探ります。

世界最大の市場で新エネ車が売れまくる

2021年、世界最大の自動車市場における電動モデルの販売は大きな成長を遂げた。中国の自動車業界の公式発表によると、プラグイン・ハイブリッド車とEVの国内販売台数は、2020年比で158%という驚異的な伸びを記録したことが明らかになっている。この数字の背景には何があり、誰が勝者となったのだろうか?まず、データから見てみよう。

1. 中国では、バッテリーEVとプラグイン・ハイブリッド車を合わせた新エネルギー車(NEV)の総販売台数が352万台を突破し、世界全体の半分強を占めた。

国内外のさまざまなブランドが中国でしのぎを削る。
国内外のさまざまなブランドが中国でしのぎを削る。

2. ウーリンのミニEV 1車種だけでその約12%を占める。

3. 電動モデルのマーケットリーダーであるBYDは、60万台以上のNEVを販売した。

4. 中国の全自動車販売台数に占めるNEVの割合は13.4%。

2025年までに新車販売台数の20%をNEVにするという中国当局の目標は、単月で見れば11月、12月ともに達成しており、2022年に3年前倒しでの目標達成も射程圏内に収めている。

実際、2021年の驚異的な成長は、10年以上にわたる投資と補助金によって、自動車メーカー、バッテリーサプライヤー、インフラなど総額500億ポンド(約7.8兆円)を超える自国産業が発展したことに根ざすものであることを認識する必要があるだろう。

欧州にも進出する新興ブランド

中国政府は2020年に予定していたEV補助金の廃止を延期したが、それでも昨年は30%削減され、現在では購入資金のごく一部を支えるに過ぎない。

一方で、EVの注目度向上、大都市におけるICE車のナンバープレート規制、ますます多様で高性能になっていく製品群、初めて海外の競合他社と同等と見なされた国産ブランドなど、国内消費者は熱狂の嵐に乗っている。

Ora Cat(欧拉・好猫)
Ora Cat(欧拉・好猫)

昨年末に高級EVブランド「Zeekr」を立ち上げたジーリー集団のPRディレクター、アシュリー・サトクリフ氏は、「中国の消費者は、さまざまな側面から新エネルギー車に対する関心を高めている」と指摘する。

Zeekrは、AVATR、Aion、Voyah、Oraなど中国の大手自動車メーカーから発売された、あるいは発売が予定されている数多くのEV商品の1つに過ぎない。Oraが今年、欧州市場に参入するのも、中国の自動車産業が自信を深めていることの表れである。

欧州市場参入の動きを見せているのは古参メーカーだけではない。現在ノルウェーに進出し、2022年にはさらなる欧州進出を計画しているEV新興企業のニオ(Nio)とシャオペン(Xpeng)も、2021年に大幅な販売増を記録した。

中型SUVの「ES6」が2021年の総合ランキングで19位を獲得したニオは、通年で109.1%の販売増。ライバルのシャオペンはセダンの「P7」が同ランキング13位に入り、市場を圧倒する263%の販売増を見せた。

NEVの幅広い市場での成功について、シャオペンの副会長兼社長であるブライアン・グー氏は次のように述べている。

「この普及率を大きく動かしたのは、非常に優れたスマートなEV製品の提供と、顧客の認識と需要の拡大、そして常に新しい製品を受け入れる中国の消費行動です」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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