新型レンジローバー テールライトの形に賛否? 源流たどる→デザイン<機能が伝統
公開 : 2022.01.20 17:25
新型レンジローバーのテールライトのが注目されています。源流をたどるとデザイン<機能であることがわかります。
5代目、唯一賛否が分かれた部分
5代目となる新型レンジローバーが発表され、その姿をメディアで目にする機会が増えている。
ランドローバー自身が「サーフェイス」という言葉を多用するそのスタイリングは、ボディ表面の凹凸を極限まで減らしたようなすっきりとした面構成になっているが、それでもなおひと目でレンジローバーとわかる。
フロントマスクは先代の構成を踏襲しているが、ボディサイドからリアにかけての造形はコンセプトモデルのようにシンプル。特にリアエンドは先代とははっきりと異なることがわかる。
左右の縦長のテールランプは点灯していない時には全体がブラックアウトされ、テールゲート上でRANGE ROVERの文字を掲げる黒い水平バーと馴染むことでデザイン上のアクセントになっているのだ。
ネットの反響を見ていても、特にテールランプのかたちは賛否が分かれるようだ。
誕生して半世紀を越えるSUVの元祖であり、何より伝統を重んじるイギリス車という概念にはそぐわないということなのだろうか。
だが筆者はレンジローバーの初代に光を当てることで、もう1つの答えが見えてくるように感じた。
そのヒントは「レンジローバーにデザイナーはいません」と言い切った初代の開発者スペン・キングの言葉にある。
全世代共通? デザイン<機能美
スペン・キングが言うように、初代レンジローバーにはデザイナーがいなかった。
キングをはじめとするエンジニアたちが理想を追求しただけの1台だったのである。
機能を追求した結果の機能美が評価され、工業製品として初めてルーブル美術館に収蔵されるという評価を勝ち得たクルマだったのである。
興味深いことに、歴代のレンジローバーがずらりと並んだ写真を見てみると、世代ごとにサイズは大きくなっているが、縦と横を基調としたラインは全世代のレンジロ-バーに共通している。
つまり2代目以降のデザイナーたちは皆、初代のエンジニアたちが定義した機能美を今日まで重んじてきたのである。
例えばドアハンドルや給油口が、ボディの側面から出っ張ることのない「サーフェイス」という考え方は、初代レンジローバーが悪路や密林地帯を走り抜ける際にひっかからないようにデザインされた概念に通じるもの。
消灯時に周囲の黒に溶け込むテールランプも可能な限りシンプルを極めることで、かっこ良い悪いの解釈を越えたポジショニングを確立したともいえる。
半世紀が経過してなお初志を貫く。
それこそ爆発的にライバルが増えた昨今でも、レンジローバーがオンリーワンの存在でいられる理由なのだと思う。