フォード・レンジャー・ラプター・スペシャルエディションへ試乗 自己主張も増強

公開 : 2022.01.29 08:25

強化された四輪駆動シャシーに、ストライプで着飾ったオフロードのスーパートラック。英国編集部が評価しました。

大幅に強化された四輪駆動のシャシー

リフトアップされたフォード・レンジャー・ラプターを見て、ちょっとまだ控えめかな、と感じたことはあるだろうか。少なくとも筆者はない。

無骨なオフロード用サスペンションをホイールアーチの間から覗かせつつ、ブロックの大きいオフロードタイヤが見るものを威圧する。入り組んだ英国の道路環境では、すでに充分な存在感を湛えている。悪路性能にも不足はない。

フォード・レンジャー・ラプター・スペシャルエディション(英国仕様)
フォード・レンジャー・ラプター・スペシャルエディション(英国仕様)

しかし現行型レンジャーのモデル末期を迎え、さらにもっとを求める人のために、スペシャルエディションが登場した。これなら、不足を唱える人もいないだろう。

レンジャー・ラプターをベースに、ボディへレーシングストライプが与えられ、ブラックのトリムとホイールで統一。さらにインテリアには、赤いアクセントが追加されている。

従来以上に目立つピックアップトラックに仕上がっていることは、いうまでもない。広大なショッピングモールの駐車場でも、一発で発見できそうだ。

四輪駆動のシャシーは、標準のレンジャーから大幅に強化されている。バハ1000のごとく、荒野での疾走にも対応できるように。

トレッドは150mm広げられ、車高はフォックス社製のリフトアップ・サスペンションと、ゼネラル・グラバー・タイヤのおかげで51mm高い。アメリカで売られているフォードF-150 ラプターを模した、ゴツいフロントグリルも装備する。

見た目の迫力とは裏腹に動力源はそのまま

ただし見た目の迫力とは裏腹に、パワートレインやメカニズムは、通常のレンジャーと基本的に違わない。エンジンは2.0L 4気筒ターボディーゼルで、トランスミッションは10速のオートマティック。最高出力は、控えめに感じる213psとなる。

0-100km/h加速は、10.5秒がうたわれる。レンジャー・ラプターは通行人に荒々しい性格を想像されるかもしれないが、マイルドなディーゼルエンジンのノイズを伴い、程々の勢いで加速する。

フォード・レンジャー・ラプター・スペシャルエディション(英国仕様)
フォード・レンジャー・ラプター・スペシャルエディション(英国仕様)

ラプターが意味する猛禽類のような野蛮さはないとしても、燃費効率には優れる。今回の160kmほどの試乗では、高速道路で10.6km/Lという数字を記録した。日常的に乗ることも、難しくはないだろう。

フルスロットル時には、パイプで導引されるエンジンノイズが賑やかなものの、普通に運転している限り車内は静か。10速ATも適切なタイミングでテンポ良く変速してくれる。

車高は持ち上げられているが、コーナーではタイトにボディを制御し、オンロードでの走りも犠牲にはなっていない。巨大なオフロードタイヤは、想像以上にノイズが静かだ。サイドウォールが厚く、歩道の段差でホイールを傷つける心配もない。

オフロードで泥まみれになって楽しむことが前提の、レンジャー・ラプター。だが、コンクリートやアスファルトで固められた市街地にも、充分に対応することができる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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