トヨタ・ノア/ヴォクシー比較 歴代テレビCMにみるそれぞれの「世界観」

公開 : 2022.01.21 05:45

3代目 予算をたっぷりかけて

第3世代となる先代モデルの登場は2014年。

当時、トヨタは、妻夫木聡氏とジャン・レノ氏による「ドラえもん」CMシリーズを展開中だった。

トヨタ・ヴォクシー(3代目)
トヨタ・ヴォクシー(3代目)    トヨタ

そのため「ノア」も、妻夫木&ジャン・レノ両氏の「ドラえもん」版のCMが製作された。

さらに映画「ロード・オブ・ザ・リング」に出演した世界的スター、イライジャウッド氏を起用。

ピーターラビットとともに登場し、ハイブリッドモデルを「ようこそ、あしたへ」と紹介している。

予算たっぷりのトヨタならではのCMといえるだろう。

また、2017年のマイナーチェンジでは、女優の新垣結衣氏を起用。

新婚の妻役である新垣氏がカメラに向かって話しかけてくるというスタイルのCMを展開。

毎週金曜日に「#金曜日の新垣さん」と称するウェブコンテンツは大いに話題を集めることになる。

若い夫婦に「ノア」の乗ってもらおうというのが狙いだったのだろう。

一方、「ヴォクシー」の方は、「俺。父。俺。」のキャッチコピーの元、瑛太氏がパパとして登場。

先代モデルと同様にロック+イケメン俳優という組み合わせだが、初めて父になる! という初々しさもプラスされていたのだ。

その後も同じように、若手の柳楽優弥氏が「父になった」と子供とともに登場するバージョンも登場。

やはり若いお父さんを狙っていることがありありとわかる。

また、青木崇高氏が「俺にはカッコつけたい相手がいる」と幼い娘と登場したり、優香氏が息子と「出かけようか二人で」と息子とドライブする、「親子デートしよう。」バージョンのCMも発表されている。

「家族=お父さんとお母さんと子供」という古い価値観に縛られない、新しいスタイルのCMといえるだろう。

初代から先代までのCMを見比べてみると、「ノア」と「ヴォクシー」のそれぞれの主張する世界観が、まったく異なることがよくわかる。

最新型が主張する「王道」の「ノア」と、「先鋭」の「ヴォクシー」という対比は、初代からの伝統であったのだ。

新型モデルに関しても、2台のCMも見比べてみると、きっと面白い違いを見つけることができるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

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    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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