アウディ・カブリオレ(B3系) 英国版中古車ガイド ダイアナ妃も運転していた

公開 : 2022.02.06 08:25

S2譲りのボンネットとサスペンション

確かにA4へ進化したアウディに、内面では追い越されていたかもしれない。しかし、カブリオレの端正な佇まいはモデル末期まで、充分な訴求力を持っていたと思う。

ボディには、B3世代のS2クーペ譲りとなる、スタイリングなボンネットとテールライトを採用。また、S2と同じスポーツ・サスペンションも与えられていた。

アウディ・カブリオレ(1991〜2000年/英国仕様)
アウディ・カブリオレ(1991〜2000年/英国仕様)

1997年のフェイスリフトでは、シンプルなリアバンパーと、プロジェクター・ヘッドライトを獲得している。1999年に登場したファイナル・エディションでは、上質なレザーインテリアとエアコンが標準。16インチのアルミホイールで足もとを飾っていた。

登場から年数が経つから、探すなら細かな仕様よりも状態の良さを優先したい。ネオクラシックとして、アウディ・カブリオレが評価を高める日も遠くはないかもしれない。

オーナーの意見を聞いてみる

マーク・サンプター氏

「20歳の頃からアウディの大ファンです。最初に買ったのが、20バルブエンジンのクーペ。それから80スポーツに乗り換え、クーペへ戻り、現在のカブリオレへと乗り継いでいます」

アウディ・カブリオレ(1991〜2000年/英国仕様)
アウディ・カブリオレ(1991〜2000年/英国仕様)

「今は、2.8Lエンジンを搭載した、ファイナル・エディションのATモデルです。走行距離は20万kmを超えました。見た目も良いですし、走りも驚くほど。段差でスカットルシェイクが生じますが、古い年式のカブリオレは大体そんなものでしょう」

「わたしは古いアウディのスタイリングの方が、新しいモデルより遥かにクリーンで好きですね。ロールオーバー・バーがないので、ルーフを開いたシルエットもとても美しい」

「低調な価格には、疑問を持ちます。ネオクラシックだと話してくれる人も多いですが、中古車の相場は上昇していません。今のところ。掘り出し物を見つけて、楽しんで欲しいですね」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

カブリオレのV6エンジンは、滑らかで静かに回転するのが正解。5気筒エンジンは、爽快なノイズを楽しませてくれる。バルブリフターの不具合が生じることがあるが、エンジンオイルの経路が詰まり、油圧が下がることが原因。パワーダウンを招く。

エンジンに関係なく、タイミングベルトとウオーターポンプの交換履歴は確かめたい。

サスペンションとタイヤ

アウディ・カブリオレ(1991〜2000年/英国仕様)
アウディ・カブリオレ(1991〜2000年/英国仕様)

車重は軽くなく、ショックアブソーバーやボールジョイント、リンク、ブッシュ類は劣化しやすい。定期的な交換が必要になる。ショックアブソーバーのトップマウントと、ウイッシュボーンも同様。

フロントタイヤの摩耗も早い。偏摩耗がないか確かめたい。

ボディ

ソフトトップの開閉がスムーズか確かめる。トランクリッド側と兼用のハーネスの不調や、油圧を保つプラスティック製リザーバータンクからのフルード漏れが起きやすい。

ソフトトップ・シールの隙間をつたってボディパネルの間へ水が侵入し、荷室フロアが錆びることがある。同時に、フロントガラスのラバーシールの状態も確かめたい。

ボディトリムの状態も、よく観察したい。交換が必要だとしても、純正部品は高価になっている。新品のヘッドライトは、もはや入手困難だという。

インテリアと電気系統

エアバッグなど、警告灯の状態を確かめる。初期のカブリオレにはポーレンフィルターが付いておらず、エアコンのヒーターマトリックスが目詰まりしてしまう。正常にヒーターが機能するか確かめておきたい。交換は安くできない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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