アウディ・カブリオレ(B3系) 英国版中古車ガイド ダイアナ妃も運転していた
公開 : 2022.02.06 08:25
S2譲りのボンネットとサスペンション
確かにA4へ進化したアウディに、内面では追い越されていたかもしれない。しかし、カブリオレの端正な佇まいはモデル末期まで、充分な訴求力を持っていたと思う。
ボディには、B3世代のS2クーペ譲りとなる、スタイリングなボンネットとテールライトを採用。また、S2と同じスポーツ・サスペンションも与えられていた。
1997年のフェイスリフトでは、シンプルなリアバンパーと、プロジェクター・ヘッドライトを獲得している。1999年に登場したファイナル・エディションでは、上質なレザーインテリアとエアコンが標準。16インチのアルミホイールで足もとを飾っていた。
登場から年数が経つから、探すなら細かな仕様よりも状態の良さを優先したい。ネオクラシックとして、アウディ・カブリオレが評価を高める日も遠くはないかもしれない。
オーナーの意見を聞いてみる
マーク・サンプター氏
「20歳の頃からアウディの大ファンです。最初に買ったのが、20バルブエンジンのクーペ。それから80スポーツに乗り換え、クーペへ戻り、現在のカブリオレへと乗り継いでいます」
「今は、2.8Lエンジンを搭載した、ファイナル・エディションのATモデルです。走行距離は20万kmを超えました。見た目も良いですし、走りも驚くほど。段差でスカットルシェイクが生じますが、古い年式のカブリオレは大体そんなものでしょう」
「わたしは古いアウディのスタイリングの方が、新しいモデルより遥かにクリーンで好きですね。ロールオーバー・バーがないので、ルーフを開いたシルエットもとても美しい」
「低調な価格には、疑問を持ちます。ネオクラシックだと話してくれる人も多いですが、中古車の相場は上昇していません。今のところ。掘り出し物を見つけて、楽しんで欲しいですね」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
カブリオレのV6エンジンは、滑らかで静かに回転するのが正解。5気筒エンジンは、爽快なノイズを楽しませてくれる。バルブリフターの不具合が生じることがあるが、エンジンオイルの経路が詰まり、油圧が下がることが原因。パワーダウンを招く。
エンジンに関係なく、タイミングベルトとウオーターポンプの交換履歴は確かめたい。
サスペンションとタイヤ
車重は軽くなく、ショックアブソーバーやボールジョイント、リンク、ブッシュ類は劣化しやすい。定期的な交換が必要になる。ショックアブソーバーのトップマウントと、ウイッシュボーンも同様。
フロントタイヤの摩耗も早い。偏摩耗がないか確かめたい。
ボディ
ソフトトップの開閉がスムーズか確かめる。トランクリッド側と兼用のハーネスの不調や、油圧を保つプラスティック製リザーバータンクからのフルード漏れが起きやすい。
ソフトトップ・シールの隙間をつたってボディパネルの間へ水が侵入し、荷室フロアが錆びることがある。同時に、フロントガラスのラバーシールの状態も確かめたい。
ボディトリムの状態も、よく観察したい。交換が必要だとしても、純正部品は高価になっている。新品のヘッドライトは、もはや入手困難だという。
インテリアと電気系統
エアバッグなど、警告灯の状態を確かめる。初期のカブリオレにはポーレンフィルターが付いておらず、エアコンのヒーターマトリックスが目詰まりしてしまう。正常にヒーターが機能するか確かめておきたい。交換は安くできない。