ベントレー・フライングスパー・ハイブリッドへ試乗 V6ツインターボのPHEV

公開 : 2022.01.23 08:25

英国の最上級リムジンへハイブリッドが登場。新技術はV8やW12を超えることができるのか、英国編集部が評価しました。

システム合計での最高出力は543ps

ベントレーはSUVのベンテイガへプラグイン・ハイブリッド(PHEV)を投入し、純EVブランド化へ向けて進み始めた。その勢いを加速させるように、リムジンのフライングスパーにもハイブリッド版を用意。次なる一歩を踏み出すようだ。

EVモードでの走行可能距離は、正式な数字はこれからだが、ベントレーによればWLTP値で約40kmになる見込みだという。V8エンジンを搭載するフライングスパーより動力性能で若干劣るものの、価格はほぼ同等になるとのこと。

ベントレー・フライングスパー・ハイブリッド(北米仕様)
ベントレー・フライングスパー・ハイブリッド(北米仕様)

ベンテイガ・ハイブリッドとフライングスパー・ハイブリッドが搭載するのは、どちらもV6ツインターボながら、基本的には別物。ベンテイガはアウディのエンジンがベースだが、フライングスパーの方は、パワフルなパナメーラ 4S Eのものから派生している。

その2.9L V6ツインターボの最高出力は、415ps。2基のターボがバンク角の内側にマウントされる、ホットインサイドと呼ばれるレイアウトが取られている。136psの駆動用モーターは、8速デュアルクラッチATとエンジンとの間に搭載される。

PHEVシステム合計での最高出力は543ps。ベンテイガ・ハイブリッド比で、94psもパワフルに仕上がっている。一方で、フライングスパー V8より6psだけ低い。0-100km/h加速は4.1秒となり、こちらも0.1秒だけ遅れる。

PHEVということで車重は軽くないが、不満のない動力性能は獲得できている。フライングスパー V8との重量差は約50kg。PHEVシステムの重量は、約210kgある。

不気味さを覚えるほど静寂な車内

新しいパワートレインを獲得したといっても、見た目の違いは小さい。見比べてすぐに気付くとすれば、ボディ左側に追加された充電ポートのリッドくらいだろう。

車内を観察すると、モニター式のメーターパネルがハイブリッド用に変更されている。それ以外、世界トップクラスのラグジュアリー・リムジンの車内へは、手がつけられていないようだ。

ベントレー・フライングスパー・ハイブリッド(北米仕様)
ベントレー・フライングスパー・ハイブリッド(北米仕様)

電動化技術がフライングスパーの特性に合致していると聞いても、AUTOCARの読者なら驚かないかもしれない。低速域での洗練性は、V8エンジンだけでなくW12エンジンを持ってしても、優位といえる。

EVモードでの走行中、車内は極めて静か。スピードバンプや舗装の剥がれた部分を通過しても、平穏なまま。ベントレーの説明では、EVモードで走行中の車内ノイズは、V8エンジン版の半分程度だという。確かに、不気味さを覚えるほどの静寂だった。

ただし、EVモードで走り続けるのはあまり簡単ではない。アクセルペダルへ軽く力を入れるだけで、自動的にハイブリッド・モードへ切り替わり、V6ツインターボ・エンジンが仕事を始める。

ベンテイガ・ハイブリッドとは異なり、アクセルペダルのストロークに、これ以上踏むとエンジンが始動することを教えるノッチのような抵抗感もない。タコメーターに描かれるパワーフロー・メーターで、駆動用モーターの負荷を知れるくらいだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事