プジョー106 GTi/ラリー 英国版中古車ガイド 才能あふれるフレンチ・ハッチ

公開 : 2022.02.03 08:25  更新 : 2022.11.01 08:51

郊外の道でのドライビング体験は爽快

一方の106 GTiは、1996年の発売。S2ラリーと同様に、自然吸気4気筒エンジンは1.6Lだが、内容はよりマイルドだ。16バルブ化され、118psを発揮している。日本版のS16も、同じ最高出力を備えていた。

車重は950kgとラリーS2より重いものの、充分に軽量。エンジンのパワーが勝り、2種のラリーより速い。当時の106としては最も高価なグレードでもあり、専用のボディキットにパワーステアリング、アルミホイールなども装備されたいた。

プジョー106(1991〜2003年/英国仕様)
プジョー106(1991〜2003年/英国仕様)

初期のGTiでは、シートがファブリック張りだったが、後期型ではアルカンターラとレザーで仕立てられている。快適なインテリアが与えられていたものの、2種類のラリーと同等に、郊外の道でのドライビング体験は爽快だ。

そんなプジョー106だが、現在はかなり数が減ってしまった。ラリーは特に人気が高く、状態の良い例を発見したら、思い切って飛び込んでみるのも悪くない。

専門家の意見を聞いてみる

レン・スプーナー氏:スプークス・モータースポーツ社代表

「長年、プジョーのメンテナスやチューニングを手がけてきました。レースへの参戦も。個人的に好きなプジョーは1990年代。当時のモデルのなかで、106 GTiはずば抜けて良いですね。また、2種類のラリーも」

プジョー106 ラリーS1(1994年/英国仕様)
プジョー106 ラリーS1(1994年/英国仕様)

「車重が軽く、パワフルなエンジンが載り、306 GTi-6に食らいつくことも可能です。106 S2ラリーは、そのままでも素晴らしいクルマ。でも、S1ラリーの子犬のような機敏な反応が、わたし好みです」

「106の最大の敵はサビ。ボディやシャシー全体で発生しやすいので、一見きれいな塗装にはだまされない方が良いでしょう。エアボックスや赤いシートベルトなど、ラリーのオジリナル部品も、近年では入手困難になっています」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

ラリーS1の1.3Lエンジンは堅牢。タイミングベルトは、3年毎の交換が推奨されている。ラリーS2とGTiのエンジンはタフだが、燃料インジェクターが詰まりやすいようだ。

ウッドラフキーと呼ばれるクランクプーリーの金具が破損し、プーリーの位置がずれてタイミングベルトが狂うことがある。その結果バルブとピストンが衝突し、エンジンを壊してしまう。

トランスミッション

プジョー106(1991〜2003年/英国仕様)
プジョー106(1991〜2003年/英国仕様)

ラリーの場合、ギアボックス内部のクラウンホイールがずれ、内部を破損させることがある。トランスミッション・ケースの鋳造品質は高くない。パワーを受け止めるだけの強度がなく、金属疲労で破損してしまうことがある。

サスペンションとブレーキ

ブッシュの劣化、ブレーキラインの腐食、ダンパーやスプリングのヘタリなどは想定の範囲。純正部品やアップグレード・パーツの入手はまだ可能だ。ビームベアリングが摩耗すると、リアタイヤの内側が偏摩耗することがある。

ボディ

前後のフェンダー、荷室のフロア、フロントのジャッキポイントなどにサビがないか観察する。フロント側は、ECUやウオッシャーボトル、ヒューズボックスの裏側も確かめる。リアのインナーフェンダーを突いて、荷室側の見えない部分もチェックしたい。

インテリアと電気系統

シートのヘタリやプラスティック製部品の欠損などは、年式を考えれば想定できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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