ベントレーMk VIとロールス・ロイス・トゥエンティ インドの旧車コレクター 前編

公開 : 2022.02.12 07:05

可能な限りの贅が凝らされた車内

車内もゴージャス。クリーム・レザーで仕立てられた肉厚なシートは、丁寧にグリーンのパインピングが施されている。

リアのコンパートメントは、可能な限りの贅が凝らされている。フロントシートの背もたれには、デカンタとタンブラーが納められたキャビネット。高級クラブのようだ。

ベントレーMk VI(1949年/インド仕様)
ベントレーMk VI(1949年/インド仕様)

アームレストを開くと、シルバーとカットグラスで構成されたバニティセットが並んでいた。メガネ用のトレイとお弁当箱も。

「購入は2005年。製造記録が残された書類を読むまで、マハラジャのクルマだとは知りませんでした」。とプーナワラが振り返る。

「最初にわたしが見た時は、普通のベントレーだったんです。状態もほどほど。ボディはブルーとシルバーに塗られ、紋章も残っていませんでした。マハラジャのヒントは、まったくなかったんですよ」

購入後に、シャシー番号B-294-EYの歴史が明らかになった。インド西部のムンバイに拠点のあったアライド・モータース社へ輸出される前、英国ハンプトンコートで撮影された写真も発見された。

詳しい調査を経て、2019年にレストアへ着手。最初のオーナーであるマハラジャ、ジャヤチャマラジャ・ワディヤル・バハドゥール殿下へ納車された時の状態へ、ベントレーは復元された。

当時の華やかさを表現する、見事な状態へ仕立て直されたMk VIは、2021年にインドで開催されたヴィンテージ・ラリー&コンクール・デレガンスへ出展。ベスト・オブ・ショーを受賞したほか、英国のサロン・プリヴェでもマールバラ公賞を獲得した。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・マクレマン

    Greg Macleman

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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