ベントレーMk VIとロールス・ロイス・トゥエンティ インドの旧車コレクター 前編
公開 : 2022.02.12 07:05
可能な限りの贅が凝らされた車内
車内もゴージャス。クリーム・レザーで仕立てられた肉厚なシートは、丁寧にグリーンのパインピングが施されている。
リアのコンパートメントは、可能な限りの贅が凝らされている。フロントシートの背もたれには、デカンタとタンブラーが納められたキャビネット。高級クラブのようだ。
アームレストを開くと、シルバーとカットグラスで構成されたバニティセットが並んでいた。メガネ用のトレイとお弁当箱も。
「購入は2005年。製造記録が残された書類を読むまで、マハラジャのクルマだとは知りませんでした」。とプーナワラが振り返る。
「最初にわたしが見た時は、普通のベントレーだったんです。状態もほどほど。ボディはブルーとシルバーに塗られ、紋章も残っていませんでした。マハラジャのヒントは、まったくなかったんですよ」
購入後に、シャシー番号B-294-EYの歴史が明らかになった。インド西部のムンバイに拠点のあったアライド・モータース社へ輸出される前、英国ハンプトンコートで撮影された写真も発見された。
詳しい調査を経て、2019年にレストアへ着手。最初のオーナーであるマハラジャ、ジャヤチャマラジャ・ワディヤル・バハドゥール殿下へ納車された時の状態へ、ベントレーは復元された。
当時の華やかさを表現する、見事な状態へ仕立て直されたMk VIは、2021年にインドで開催されたヴィンテージ・ラリー&コンクール・デレガンスへ出展。ベスト・オブ・ショーを受賞したほか、英国のサロン・プリヴェでもマールバラ公賞を獲得した。
この続きは後編にて。