三菱アウトランダーPHEV試乗 三菱「自信作」の出来栄えは? フォレスターと比較

公開 : 2022.02.02 10:10  更新 : 2022.02.04 11:05

三菱らしい」走りとは?

事前に公開された広報資料の中に、車両運動統合制御システムS-AWCによるコーナーでのクルマの旋回イメージ図がある。

一般的には、未舗装路面や雪道など滑りやすい路面ではコーナーへの進入はおとなしめにして、早めにコーナーのイン側に入り、しっかりとしたスムーズな定常旋回をおこなうとしている。

三菱アウトランダーPHEVの試乗会の様子
三菱アウトランダーPHEVの試乗会の様子    桃田健史

それに対して、アウトランダーPHEVでは、コーナーの各所でクルマの鼻(前方)がコーナーの脱出方向へ積極的に向いていくイメージ図としている。

積極的にドリフトしているようなイメージにも見えてしまう。

そこで、実際にコーナー進入速度を適宜として、あえてアクセルを踏み込んで積極的にコーナーを攻めてみると、クルマのリア側が実による回り込んでくれる。

グラベルの次に、マッドでも走ったが、上り坂の急コーナーでも一気にトラクションがかかりながらリアがよく回り込むのが分かる。

試乗後に、筆者の旧知であり、パリダカ優勝など輝かしい経歴がある増岡浩氏と話をしたが、「他社の四駆にはない、三菱らしい走りを目指して、あえてこうした思い切った走り味に仕上げた」と、開発の舞台裏を教えてくれた。

たしかに、スバルでいえば、WRXならば攻めの四駆になるが、SUVのフォレスター・スポーツでは、絶対的な出力差あるとはいえ、もっと安定志向のセッティングだ。

メカメカしいフォレスターの走り

オフロード走行後、舞台を市街地に移したが、ドライブモードをターマックにすると、以前に試乗した「エクリプス・クロスPHEV」のように、クルマ全体が一気に引き締まった感じに豹変する。

三菱のエンジニアによれば、新型アウトランダーPHEVはエクリプス・クロスPHEVと比べると、リアのヨー方向など制御系でアップグレードされているという。

スバル・フォレスター
スバル・フォレスター    桃田健史

また、他社の四駆ハイブリッド車や四駆プラグインハイブリッド車と比べると、モーターの最大出力がフロントよりリアが大きく設定してあり、これによって三菱らしい、リアの旋回を積極的に行う走り味が実現できている。

こうして新型アウトランダーPHEVの独特の走りを楽しんだ後、フォレスター・スポーツにヨコハマ・アイスガード7を装着して雪国を目指した。

水平対抗エンジンによるシンメトリカルで低重心、この基本構造を準じた安心安全な走りがフォレスター・スポーツの狙いだ。

メカメカしいこの走りも、実に楽しい。

トラクションコントロールのX-MODEは、40km/h以下を想定したシステムである。

新型アウトランダーPHEVとフォレスター・スポーツ、価格帯もパワートレインシステムも違う2モデルだが、こうして比較してみると、ドライバーが抱く楽しい四駆という観点では共通点があるように感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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